HOME |電力改革「発送電分離」 自民党内の反対で「努力目標」に後退(各紙) 結局、アベノミクスは旧勢力の保護だけなのか? |

電力改革「発送電分離」 自民党内の反対で「努力目標」に後退(各紙) 結局、アベノミクスは旧勢力の保護だけなのか?

2013-03-18 23:02:18

soudensendc07240111
soudensendc07240111各紙の報道によると、政府・自民党は18日、大手電力会社の送配電部門を発電部門から別会社化する「発送電分離」の電力改革の方針を後退させる方向となった。当初は発送電分離を18〜20年をめどに実施するため、2015年通常国会に電力改革関連法案を提出する方針を政府案として打ち出していた。しかし、電力会社のロビー活動を受けて、自民党内で反対論が台頭し、改革については努力目標にトーンダウンさせる方向に落ち着きそうという。

政府は月内にも、電力改革について、電力会社の発送電分離と家庭向け電力販売の自由化を柱とする電力改革案を閣議決定する予定だ。しかし、18日に開いた自民党経済産業部会などの合同部会では、特に発送電分離について、出席議員から「原発再稼働などが見通せない中、拙速に行うべきではない」などの慎重意見が続出した。いずれも、電力会社の主張を受けたもので、「脱原発」の見直しに次いで、電力独占体制維持への回帰を目指そうという意図に基づくとみられる。

こうした意見を反映する形で、電力改革案については、改革の目標年限は残しながらも、法案提出や改革の中身については、「目指す」とのあいまいな表現に修正される見通しだという。改革が「努力目標」に後退することで、発送電分離が事実上、骨抜きになる可能性も出てきた。何のための議論だったのか、という疑問が改めて出てくる。また、旧来の電力地域独占体制が維持されると、競争の導入が遅れ、電力価格の高値張り付き状態が継続することになり、日本経済の競争力を低下させる懸念がある。

政府・自民は、金融政策を円相場低め誘導に活用する一方で、内需喚起策については、ゼネコンへの予算配分など旧来型のばらまき政策に終始しており、構造改革からは大きく遠ざかる見通しとなってきた。「三本の矢」が、結局は旧来の電力の独占体制を維持することに終わると、日本経済の競争力強化、成長促進とは真逆の方向に向かいかねない。