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福島第一原発で停電事故 不十分な制御、裏付け 原因不明 電源多重化いまだ進まず(東京)

2013-03-19 08:52:44

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fukushima4goukifusei27a1180f-s東京電力は十八日、福島第一原発で午後七時前に停電があったと発表した。1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなどが停止し、十九日午前一時時点で復旧のめどは立っていない。事故対応に当たっている免震重要棟も一時的に停電したが、すぐに復旧した。


 原子力規制庁によると、1~3号機の原子炉への注水に問題は生じていない。燃料六千三百七十七体を保管する共用プールの冷却も停止。放射性物質を含む汚染水を処理する装置や、3号機の格納容器ガス管理システムの一部も停止した。




 東電は「配電盤か、接続されたケーブルが原因の可能性がある」としているが、規制庁、東電とも原因を特定できていない。東電が停電を公表したのは、発生約三時間後の午後十時すぎだった。「点検する場所が多く、現場確認に手間取った」と説明している。




 東電によると、十八日午後四時の時点で、1~4号機プールの水温は一三・七~二五度。このまま冷却できなければ、最も水温が高い4号機では四~五日で、余裕を持って安全を確保するために定められた保安規定上の管理温度の上限である六五度に達する。




 2号機プールの冷却システムは電源工事のため十八日朝から停止していたが、午後六時半すぎに冷却を再開した。




 周辺のモニタリングポストの放射線量に目立った変化はない。第一原発では昨年一月にも1~4号機の使用済み燃料プールの冷却が一時停止するトラブルがあった。昨年六月には4号機プールで約三十時間にわたって冷却が停止、水温が一時約四三度まで上昇した。

 


◆不十分な制御、裏付け 原因不明…遠い「収束」


 


 四カ所の使用済み核燃料プールで同時に起きた冷却システムの停止事故は、いまだに原発を十分に制御できず、本当の意味での原発事故の「収束」と廃炉への道のりが明確でないことを、あらためて印象づけた。




 東電は、廃炉工程をチェックする原子力規制委員会の会合に提出した資料で、プールのリスク(危険性)対策は「十分」と自己評価していた。確かに多数の核燃料があっても、プールの水温は最も高い4号機で二五度。仮に冷却停止が続いても危険な状態になるまで一週間ほどの余裕がある。




 しかし、1、3、4号機のほか、4号機の山側にある共用プールまで同時に冷却が止まり、原因がすぐ把握できない事態は深刻だ。電気は基本的に号機ごとに各種の機器に配電されるため、プールの冷却だけが同時に止まる可能性は非常に低い。それが実際に起きた。




 本来なら、冷却停止が起きても、バックアップの装置が起動して冷却が続いているべきだが、時間的余裕があることを理由に、多重化はされていない。




 今回の事故を機に、東電も規制委も対策に漏れがないか見直すことが求められる。 (山川剛史)