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福島第一原発 汚染水処理への対応は「自転車操業」(毎日)

2013-04-06 16:26:31

汚染水漏れの貯水槽
汚染水の漏れが見つかった福島第1原発の貯水槽で作業をする人たち=福島県大熊町で2013年4月6日、
汚染水の漏れが見つかった福島第1原発の貯水槽で作業をする人たち=福島県大熊町で2013年4月6日、


東京電力福島第1原発で放射性汚染水が漏れた「地下貯水槽」について、原子力規制委員会は使用前の現地検査を実施しておらず、汚染水処理が「自転車操業」になっている実態が改めて浮き彫りになった。廃炉作業には汚染水処理を完了し、周辺の放射線量を下げる必要がある。しかし、汚染水は増加の一途をたどり、事故から2年たっても「汚染水との闘い」が変わらぬ状況が続いている。

「第1原発の汚染水処理は非常にタイト。1万3000立方メートル(漏えいした地下貯水槽の容量)の数字は小さなものではなく、貯蔵プランの見直しもある」。6日の記者会見で尾野昌之原子力・立地本部長代理はこう述べた。地下貯水槽が今後も使用できなければ、現状も綱渡り状態にある汚染水の保管が一層逼迫(ひっぱく)する。

第1原発周辺の汚染水総量は、処理済み分も含め2日現在、計約37万立方メートル(ドラム缶換算で185万本)。現在も地下水や雨水も流入し、1日約400立方メートルずつ増えている。

東電は地下貯水槽のほか、汚染水をためるタンクを増設し、2015年までに最大約70万立方メートル(同350万本)へ拡大する。また、放射性物質を除去する汚染水浄化装置「アルプス」を運転して処理水の海への放出も検討するが、地元漁業関係者の合意を得られるかは不透明だ。6日、汚染水漏れを受け開かれた福島県の関係課長会議でも、「別の貯水槽に移送するまでに、さらに漏れる可能性がないか」「海へしみ出していないか」など懸念の声が上がった。

第1原発では、仮設電源施設にネズミが入り込んだことによる長期停電事故や、敷地内の放射線測定装置が誤作動するなど、トラブルが頻発している。二見常夫・東京工業大特任教授は「現場の最大の悩みは汚染水処理。蒸発などによって汚染水の量を減らす減容化を進めるしかない」と指摘する。【中西拓司、神保圭作】