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大震災の復興事業で賃金不払い横行、労働者苦境 支援団体に相談相次ぐ(河北新報) 国民を不幸にする国なのか

2013-05-01 17:54:13

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東日本大震災の復旧・復興関連事業で、労働者が約束通りの賃金を受け取れず、苦境に陥る事態が相次いでいる。金に困って犯罪に走ったり、衰弱して入院したり。労働者が仕事を求めて全国から被災地に集まる中、生活困窮者支援団体の関係者は「まともな職場に入れず、地元に戻っても職がある保証はない。負のサイクルだ」と憂う。


 「震災で金になるいい仕事があると聞いた」。無職の40代男性は2011年秋、名古屋市から仙台市へ来た。

 仙台市内の建設会社で約2カ月間、がれき処理に従事し、会社の宿で寝泊まりした。日当から宿泊費や食費を引いた計十数万円が支給されるはずだったが、もらえなかった。金に困った末、市内のパチンコ店で客の財布を盗んだとして宮城県警に逮捕された。

 
 留置先で弁護士と面会した男性は「名古屋へ帰る金がなく、金を貸してくれる家族や知人はいない。賃金が支払われるよう会社に相談してほしい」と訴えた。

 
 弁護士が会社に問い合わせると、担当者は「本人が来れば渡す」と答えたという。保釈後、男性と連絡が途絶え、行方が分からなくなった。

 
 九州地方の50代男性は震災発生直後、スポーツ紙で復興関連の仕事の求人を見つけ、応募した。石巻市で被災建物の解体作業などに関わった。

 
 会社は当初、日当9000円~1万円と約束したが、その後、「1日3000円を仮渡しし、残りは2カ月後にまとめて支払う」と変えた。

 
 11年5月ごろ、約束を交わした会社の関係者が姿を消した。男性は戻ると信じて働き続けたが、所持金が底を突き、数日間、食事を取れなくなった。宮城県内の生活困窮者の支援団体に駆け込んだ。

 
 男性はやせ細り、体調を崩して入院。支払われるはずだった賃金は、今ももらえていない。

 
 宮城県内の建設関連のある労働者組織には、震災に関連する賃金の不払いや未払いの相談が7、8件寄せられた。全国から被災地に来てがれき処理に携わった労働者らからの相談で、支払われなかった額は多い人で100万円に上った。

 
 組織の担当者は「こうしたケースは氷山の一角だ」と指摘する。

 
◎仕事なく、被災地で困窮

 震災関連事業では、職を得られず路上生活に追い込まれたり、業者に放置されたままだったりした人もいる。
 「仙台には震災関連の仕事がたくさんあると聞いたのに、話が違った」。岩手県出身の60代男性は肩を落とす。
 関東地方の建設会社で清掃の仕事をしていたが、不況のあおりで解雇された。仙台市に来たのは昨年8月。公共職業安定所に通い、無料の求人情報誌に目を通したが、仕事は見つからなかった。

 
 手持ちの金が1000円ほどになり、約2週間、JR仙台駅周辺や公園で寝泊まりした。

 
 関東に戻るための高速バスを予約したが、金がない上、戻ってもどうにもならないと思い、断念。流れ着いた宮城県利府町の飲食店で無銭飲食し、逮捕された。

 
 男性は後悔する。
 「捕まって留置場で休んでから働きに行こうと思ってしまった。人生をやり直したい」

 
 埼玉県の男性は震災後、ある業者から「被災地に行けば仕事がある」と誘われ、用意された宮城県北の宿舎に入った。がれき処理の現場に行くという話だった。

 
 宿舎で1カ月近く待ったが、連絡がない。音信不通となり、所持金を使い果たした。家族から交通費を送ってもらい、帰宅できたという。

 
 男性から相談を受けた労働者支援団体の担当者は「業者は現場に需要があれば労働者を送り出すつもりだったが、がれき処理が遅れたので待機させたままにしたのではないか」とみている。

 

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/05/20130501t13012.htm