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原子力規制委員会の独立性、剣が峰に直面 原発活断層調査で電力各社と対立激化(河北新報) 負けるな!

2013-06-01 12:45:52

東北電力東通原発の敷地内断層を検証する規制委の評価会合。規制委の調査団(右側)と東北電側の議論は平行線をたどり続けている=5月17日、東京
東北電力東通原発の敷地内断層を検証する規制委の評価会合。規制委の調査団(右側)と東北電側の議論は平行線をたどり続けている=5月17日、東京
東北電力東通原発の敷地内断層を検証する規制委の評価会合。規制委の調査団(右側)と東北電側の議論は平行線をたどり続けている=5月17日、東京


東北電力東通原発(青森県東通村)など、原発敷地内の断層調査をめぐり、原子力規制委員会への風当たりが強まっている。規制委は5月22日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)直下の活断層の存在を了承。経営を揺るがしかねない廃炉が現実味を増し、電力会社だけでなく政権与党も批判を強めている。規制委は独立と孤立のはざまにある。(東京支社・若林雅人、報道部・小沢邦嘉)

◎個別に抗議文

「当社の疑問や指摘に何ら答えず、科学的な判断ではない」
原電は5月15日、敦賀2号機直下の活断層を認める報告書をまとめた規制委調査団の専門家らに厳重抗議文を送った。報告書を了承した規制委には、判断の是非を問う公開質問状を提出した。
原電の姿勢に規制委は反発。22日の会合で更田豊志委員は「専門家個人に抗議文を送るセンスを疑う」と語気を強め、公開質問状も「原電に個別対応はしない」(森本英香原子力規制庁次長)と突き放した。
東北電も恐々
敦賀と同様に活断層調査の対象となる原発は他に5カ所ある。規制当局が原発直下の活断層を認めるという前例のない事態が現実となり、事業者側は「敦賀の二の舞」に危機感を募らせる。
その一つ、東北電力東通原発をめぐる17日の会合で調査団は「敷地内に活断層がある可能性は否定できない」とする報告書案を提示した。「議論が尽くされていない」と現地の再調査を求めた梅田健夫副社長を横目に調査団は会合を打ち切り、無言で退席した。
同社は「活断層ではないとみる専門家もいる」と議論の継続を訴える。調査団は早期に報告書をまとめる可能性がある。
規制委は福島第1原発事故で露呈した規制側と事業者の癒着の反省から独立性の高い3条委員会として発足した。敦賀の活断層判断はその面目躍如だった。
23日にあった自民党の原子力規制に関するプロジェクトチームの会合では「3条委だから何をやってもいいわけではない」「まるで『糸の切れたたこ』だ」と規制委への批判が相次いだ。

◎態勢強化望む

規制委側にも課題はある。活断層評価では、事業者頼みの調査の限界が見え始めた。
敦賀2号機直下の活断層は、旧原子力安全・保安院の指示で原電が実施した調査で2008年に判明した敷地周辺の活断層との関連性が最大の根拠となった。調査団長役を務めた規制委の島崎邦彦委員長代理は「(08年の活断層が)見つかっていなければ結論は変わっていた」と明かす。
「事業者が詳しく調べるほど不利になる」(更田委員)いびつな構造を改善するため、規制委の独自調査を可能とする規模への態勢強化を求める声が出ている。
存在感が増すにつれ規制委に向けられる視線も厳しさを増す。田中俊一委員長は「規制委は福島のような事故を二度と起こさないための組織。安全を守る観点以外に左右されずに判断したい」と強調する。

[3条委員会]国家行政組織法第3条に基づき省の外局として置かれる独立性と中立性の高い行政機関。原子力規制委員会は環境省の外局。ほかに国土交通省外局の運輸安全委員会などがある。公正取引委員会も根拠法令は内閣府設置法だが規制委などと同様の組織に位置付けられている。

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/06/20130601t73014.htm