HOME |経産相 「原発廃炉時の会計処理、制度見直しを検討」と発言 会計(資産除去債務)に対する理解不足。この程度の大臣では・・・(FGW) |

経産相 「原発廃炉時の会計処理、制度見直しを検討」と発言 会計(資産除去債務)に対する理解不足。この程度の大臣では・・・(FGW)

2013-06-01 01:25:43

fukushimadaiichi20121012027jd
fukushimadaiichi20121012027jd茂木敏充経済産業相は31日の衆院経済産業委員会で、電力会社が原子力発電所を廃炉した場合の損失の会計処理方法を「現行の会計制度が妥当なのか見直しも含めて早急な検討をしたい」と述べた。原発廃炉に伴う費用を一括計上すると電力会社の経営の重荷になるため、緩和措置を検討する考えという。しかし、現行会計制度はそうしたリスクを回避するため、2010年に将来負担を平準化する仕組みをすでに導入している。経産相の理解不足を露呈した形だ。


 報道によると茂木経産相は、東京電力福島第1、第2原発事故後に全国の原発が稼働を停止している状況を踏まえ、「今の会計制度は原発の事故が起きないという前提に立ってつくられた部分がある」と指摘した。

だが、2010年度から我が国にも導入された資産除去債務会計基準では、将来発生する廃炉費用等の債務を、廃炉時に一括して特別損失処理するのではなく、あらかじめ処理費用を推計し、その費用を現在価値に割り引いて財務諸表に計上、長期間にわたって減価償却する会計手法を認めている。また将来債務の計上と同時に、資産価値も同額増額することから、現行の企業の会計価値への影響を中立化することも認められている。

こうした措置は、国際的な会計基準のコンバージェンスの一環として認められたもの。それ以前の電力会社の会計処理では、廃炉費用は引当金方式で、かつ発電量をベースにして試算していたため、確かに稼働期間が長いと、引当金を積み増せないという問題があった。しかし、電力会社もすでに引当金方式から、資産除去債務に切り替えており、茂木経産相が指摘するような、「廃炉費用の一括計上負担」は生じない。ただ、こうした資産除去債務による将来費用の前倒し処理は、原発の通常の使用に基づくものを前提としている。

福島第一発電所の事故を引き起こした東京電力の場合のように、事故に基づく廃炉は、廃炉費用が膨大に膨れ上がるうえ、そうした費用をあらかじめ前倒し処理をすることができないので、賠償費用とともに、実際の費用を前提とした扱いになる。