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福島いわきのゴルフ場 「汚染芝」行き場なし 東電に対して損害賠償請求訴訟提起(福島民友)

2013-06-23 23:39:01

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 fukushimagolfIP130622AZ0000525000_0001_C東京電力福島第一原発事故で休業している、いわき市大久町のゴルフ場「いわきプレステージカントリー倶楽部」で、放射性物質が付着した芝などの廃棄物約1万600トンの行き場がなく、コースに野積みされている。全18ホールの芝を独自に剥がしたが、仮置き場設置に向けた環境省との協議が難航しているためだ。制度的には国が設置費用を負担することになっているが、ゴルフ場の示した費用が想定より高額だ-と同省は難色を示している。ゴルフ場は今月上旬、東電を相手取り芝を剥いだ費用など約55億8500万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。

 

ゴルフ場によると、原発事故後、コース内の芝から高い地点で1キロ当たり約10万ベクレルを超える放射性物質が検出された。このままでは営業再開は困難と判断し、放射性物質汚染対処特別措置法に基づいて国が処分する指定廃棄物(1キロ当たり8000ベクレル以上)として処理されるよう、昨年1月に環境省と協議を開始した。

 
 「芝は、剥がさないと指定廃棄物にならない」。同省の指摘を受け、昨年9月に作業を開始した。今年3月に完了させ、指定廃棄物として認められた。

 
 指定廃棄物の保管は、ゴルフ場側の仮置き場整備に対し、国が制度に基づいて費用負担する。このため、ゴルフ場は仮置き場設置のための業者を選定し見積もりをしたが、予算が高額で同省と折り合いが付かない状況だ。ゴルフ場は整備費用を明らかにしていない。一ホール分の芝を除いて仮置き場の設置は未定となっている。

 
 設置難航の背景には、ゴルフ場の芝という大量の指定廃棄物を同省が想定していなかったことがある。費用負担制度の予算は地方公共団体分と民間業者分に分かれ、平成25年度当初予算で全国の業者分として計約9億円が配分された。

 
 同省は「仮置き場設置費用の上限は個別には設けていない」としている。しかし、ゴルフ場全体の芝を対象にする大規模な施設整備は、他地域への予算配分を圧迫しかねないと判断したとみられる。
 同省担当者は今回のケースについて「想定外だった」とした上で、今後、同様の事例があった場合は「指定廃棄物とする前に、仮置き場について協議する必要がある」とした。

 
 仮置き場設置が遅れる中、廃棄物の近隣への影響について同省は「ゴルフ場は敷地が広いため周辺に影響を与える状況ではない」との考えを示している。

 
 ゴルフ場の合津純一郎支配人(44)は「私たちも原発事故の被害者だ。仮置き場の設置は早急に進めるが、国には一日も早く根本的な処理をしてほしい」と訴えている。

 

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/06/post_7478.html