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東電福島第一原発事故の放射能除染計画 行き詰まり露呈 進まぬ作業、膨らむ費用、支払わぬ東電 杜撰な作業員管理(FGW) 「福島棄民」政策へ変質

2013-07-26 13:03:51

学校などの除染は進むが・・・・
 

学校などの除染は進むが・・・・
学校などの除染は進むが・・・・


東京電力福島第1原発事故で広がった放射能汚染の影響の除去するために実施している除染活動が行き詰まり状態になりつつある。環境省は25日、福島県での除染事業の完了目標を2013年度としてきたが、住宅等の除染が進行せず、完了時期を先延ばしせざるを得ないとの見通しを明らかにした。

 

第1原発周辺で国が「汚染状況重点調査地域」に指定している地域での除染は、学校等の公共施設は、約6割、農地は水田8割、畑5割と一応、除染は進行している。ところが住宅は15%に過ぎない。除染後の汚染土壌等の仮置き場を確保できないなどがネックとなっている。またいったん除染完了したところでも、その後、放射能濃度が上昇する問題も指摘されている。

また、除染作業においては、事業者の68%が、給与支払い問題や作業員の労働安全問題をひきおこしているなどの杜撰な現場実体が、福島労働局によって明らかにされている。また、作業に伴う除染費用については、事故責任者である東電の代わりに、国がいったん支出した後、東電に請求する仕組みをとっているが、東電はこれまで、国から請求された約212億円の除染費用の4分の1程度しか支払っておらず問題化している。

除染の作業、費用、計画が、いずれも想定から大きくずれているため、環境省の井上信治副大臣は25日、2013年度としてきた完了時期について「残りで全部やるのは非常に困難。それぞれの市町村と調整し、8月中には(見直しの計画を)発表したい」と語った。井上副大臣は見直す内容について「(期間が)延びてしまう市町村が出る」と述べ、完了時期の先送りになるとの考えを明らかにした。

また東電への費用請求については、新たに約150億円を近く追加請求することを明らかにした。しかし、東電は「放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、適切に対応している。支払いの状況については当事者間の問題なので答えられない」としている。除染費用は、産業技術総合研究所の試算では、5兆1300億円に膨らむとみられているにもかかわらず、212億円の費用を当事者が支払いを渋っている様子では、費用負担問題で除染作業が暗礁に乗り上げる公算もある。

一方で、東電は自社の管理職(課長以上)の社員に対する雇用対策として、一律10万円の特別支給を決めるなど、自社本位の対応を強めている。2012年度に大幅な内部費用の削減をしたことで、その削減分の一部を管理職特別手当に充てると説明しているが、本来は国に支払わねばならない除染費用などは一部しか計上しておらず、お手盛り優先の資金繰りを続けていることが露呈している。

国は第1原発周辺の11市町村を「除染特別地域」に指定し、直轄除染を進めているが、作業面でも、費用面でも大幅な遅れが目立っている。