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福島第一原発の放射能汚染水1日300トン今も毎日海に流出 東電任せに限界 政府国費投入で対策へ(各紙)

2013-08-07 22:30:36

fukushimaosensuiumiキャプチャ
fukushimaosensuiumiキャプチャ東京電力福島第一原発の敷地内から高濃度の放射性物質汚染地下水が海洋に流出している可能性について、政府の原子力災害対策本部は7日、1日当たり推定300トンの汚染地下水が原発に隣接する港湾に流出、海洋汚染を引き起こしているとの資源エネルギー庁の試算を明らかにした。東電による汚染水対策は破綻が明確になり、政府は国費を投入して自ら対策に当たる方針だ。福島原発処理は新たな正念場を迎えている。

試算によると、福島第一原発1〜4号機周辺に流れる地下水は1日約1000トンにのぼり、このうち約400トンが破損した原子炉建屋に流入している。残りの600トンのうち300トンは、護岸付近の地中にあるトレンチ(配管などが通る地下トンネル)から内部に残る高濃度汚染水が漏れ、接触して汚染しているとみられる。最後の300トンは行方不明で、「最悪の場合、この分も汚染水として海に流れ出ている可能性がある」(資源エネ庁)という。

汚染水がトレンチなどに漏れ始めた時期は特定できず、担当者は一昨年3月11日の原発事故直後から、ずっと漏れ続けている可能性も否定できないという。

東電は9日にも地下水を周辺に掘った井戸からくみ上げて、敷地内のタンクに収納する計画だ。今後汲み上げようの井戸数も増やすことで、汚染地下水を日量約100トンくみ上げる計画。

海洋流出量が日量300トンとみられる点については、これまでのところ、東電が護岸3カ所で各1日100トンの地下水をくみ上げると、海洋流出を防ぐことができていることから推察した。ただ、残った300トンの汚染水はこれとは別のルートで流れ出ている可能性もある。

これまで汚染水処理は東電が福島原発の事故処理・廃炉処理の一環として実施してきたが、汚染水の海洋流出を事前把握しながら公開せず、また、本体の事故処理も遅々として進んでいないなどの問題から、周辺の漁業関係者や住民などから不安が高まっている。また、福島産だけでなく、日本の水産物や果物などについても内外で敬遠する動きが改めて高まっている。こうしたことから、政府は、事故不安を拡大する海洋流出問題を迅速に封じ込めるために、東電任せのこれまでの姿勢から、政府が前面にたって対応する決意を固めたとみられる。

放射能汚染物質の海洋流出を放置していると国際的にみなされると、国家に海洋保護を義務付けている国連海洋保護法条約に違反している、との告発を環境保護団体等から受けるリスクも高まっている。また風評リスクだけでなく、海洋汚染の広がりは実害リスクを広範囲に及ぼす可能性もある。こうしたことから、安倍政権としても、東電任せの姿勢を修正する判断になったようだ。政府の対応は、東電の当事者能力のなさを立証する側面もあり、東電の破たん処理の議論が改めて活発化することも避けられない。