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「日本政府は 核兵器使用を認めるかの姿勢を示した」 被爆68年、長崎市長が安倍政権を強く批判 長崎原爆の日(各紙) 平和宣言「原点に返れ」

2013-08-09 21:53:23

9日、長崎市平和公園で開いた原爆の災禍を悼むj平和祈念式典
長崎市の田上富久市長は、長崎に米軍が原爆を落としてから68年となる9日、平和祈念式典で、安倍政権が核兵器の非人道性を訴える国際的な共同声明に賛同しなかったことを指摘、「被爆国としての原点に反する」と強く批判した。安倍首相が核廃絶にリーダーシップを発揮するよう求めた。

9日、長崎市平和公園で開いた原爆の災禍を悼むj平和祈念式典
9日、長崎市平和公園で開いた原爆の災禍を悼むj平和祈念式典


田上市長が批判したのは、4月に、スイスのジュネーブで開いた核不拡散条約(NPT)再検討会議の第二回準備委員会でのこと。会議で示された核兵器の非人道性を訴える共同声明に、政府の代表は賛同しなかったという。市長はこの日の平和宣言で、日本政府のこの姿勢について、「世界の期待を裏切った」「核兵器の使用を状況によっては認める姿勢を示した」と指摘した。

世界唯一の被爆国にもかかわらず、核兵器の非人道性についての非難を躊躇する姿勢を示したのは、歴代の政権にはないこと。市長は安倍首相に対して、「被爆国としての原点に返ること」を強く求めた。

2ジュネーブでの会合は、2015年に予定される核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた会合。共同声明は、核兵器が使われると、人道上、破滅的な結果を招くとして、「二度と使われないことを保証する唯一の手段は完全な(核)廃絶だ」とする内容。南アフリカやスイスなど75カ国が賛同した。ところが、日本政府は署名しなかった。米国の「核の傘」に頼る安全保障政策と整合性がとれない、と判断したとされる。

また安倍政権は、原発輸出の促進を掲げ、NPT未加盟のインドと原子力協定の交渉を再開したことも、NPTを形骸化し、NPTを脱退して核保有をめざす北朝鮮などの動きを正当化する口実を与えたことにつながると、批判した。

式典には当の安倍首相も出席したが、田上市長の政府批判に対しては、直接答えず、「核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶、世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことを誓う」と、通り一遍のあいさつした。

式典には約5800人が参列し、初参加のインドを含め、過去最多に並ぶ44カ国の代表が集まった。米国は昨年に続いてジョン・ルース駐日大使が出席した。式典では、この1年間に死亡が確認された3404人の名簿が奉安され、長崎原爆による死者は計16万2083人になった。