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東電福島第一原発からの放射能汚染水海洋流出  東電生き残りを最優先した経産省の責任が大きい 東電の不祥事は「経産省の不祥事」(古賀ブログ)

2013-08-09 22:34:03

kogashigeakitwitter3_reasonably_small
kogashigeakitwitter3_reasonably_small経産省の責任

何故、こういうこと(事故から2年もたってから放射能汚染水の海洋流出問題)が起きたのかと言えば、事故当初から、東電の生き残りを最優先してきた経産省の責任が大きい。今頃になって、国が前面に出て対応すると安倍総理は胸を張ったが、何か重大な勘違いをしているのではないか。

 

最初に、東電は絶対に破綻させないという方針を作ったのは、経産省だ。これを民主党政権は、当初、それでは立ち行かないとわかりながら、経産省の圧力に屈してこの方針を政府の方針にしてしまった。

 

20011年3月末に東電に3メガバンクから2兆円近い緊急融資をさせたのも経産省だ。経産省は、天下り先の銀行への配慮もあり、幹部は、絶対に東電を潰すなと言明していたそうだ。

 

その後、経産省の現場や経産省職員が出向した内閣府などにおける様々な政策検討の場では、常に東電の経営問題を最優先させて政策を作っていたという話を官僚たちが証言している。損害賠償の基準を作っていた時も、どういう基準にするといくらかかるのかということを計算しては、何とか賠償額を小さくする方策はないかという検討がされていたそうだ。

 

今、原子炉の回りの遮水壁に凍土方式という聞きなれないやり方が採用された最大の理由は、やはり、そのほうが安いということだと、担当部局の関係者がマスコミに話している。除染でも、二次除染は認めないなど、全く住民の健康や生活のことを無視した対応が続いているが、これもひとえに東電を破綻させられないという配慮なのだから、経産省という役所は、本当に罪深い。

 

しかも、現在、経産省は、東電の議決権の大半を保有する事実上の支配者である。東電の対応がこれほどひどいのだから、経営陣を全部入れ替えたらどうだろうか。問題が起きるたびに茂木大臣は東電を声高に批判して、自分だけは正義の味方ぶっているが、東電の不祥事は自分の不祥事だという認識が全くないかのようだ。他人事だと装って、責任を回避するのはいい加減にしてもらいたい。

 

 

原子力規制委員会も同罪

 

原子力規制委員会の罪も重い。汚染水漏れの問題は、規制委ができた時にはかなり深刻な状態になっていた。そのことは規制委も十分認識していたはずだ。にもかかわらず、規制委は、とにかく原発再稼動のことばかりにエネルギーを割いてきた。

 

最近になって、規制委は、やたらと東電を批判しているが、自分たちは何をしていたのか。そこへの反省が全く感じられないばかりか、批判を避けるために東電批判のパフォーマンスを行っているとしか思えない。組織の存在意義が問われる事態になっている。

 

今は、まず、再稼動の審査などは中断して、まず、汚染水対策に全精力を注ぐべきではないのか。核燃料の再処理施設の安全基準作りにも入っているが、こんなものは汚染水の話に比べれば優先順位ははるか後ろに持って来るべき話だ。

何故、いつまでも頑なに再稼動だけに注力するのか。

 

ここまでこだわると、やはり、再稼動最優先の野田政権で選ばれた時に、政府との間で、再稼動をちゃんとやりますという密約があって選任されたのかなと疑いたくなる。

 

とにかく全てのエネルギーを汚染水問題に注ぎ、世界中の専門家にヒアリングをして、最善の対応策を探す努力をして欲しい。

 

 

汚染水の濃度が薄ければよいという発想の出鱈目さ

 

田中委員長は、汚染水は処理をして、放射性物質の濃度が法律の基準を下回れば排出してよいという趣旨の発言をしているが、これはとんでもないことだ。

 

何故なら、法律が想定しているのは、小規模な量の汚染水を排出する場合のことであって、今回のような大事故の結果生じた汚染水の排水を前提としたものではない。当然のことながら、排出濃度だけでなく、排出総量がどれくらいになるのかをまず議論しなければならない。仮に濃度が薄くても、気が遠くなるような量が放出された場合、それが、どう拡散し、また、沈殿し、あるいは、凝縮していくのかを詳細に検討すべきである。

 

安全を最優先にすべき原子力規制委員会が、こうした検討を行わないまま、たまたま存在する基準が緩いのを奇禍として、将来に禍根を残し、世界中から批判されるような判断をしてしまうのではないかと心配でならない。