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経産省鳴り物入り「スマート・マンション評価制度」は 東京都既存制度のコピー版(?) 知恵のない役所が自治体政策をなぞる姿・・(FGW)

2013-08-23 01:20:33

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METIsumartmanshon_logo1_312px経済産業省は、マンションの節電機能や省エネサービスに応じ、物件を「5つ星」のマークで表示・評価する「スマートマンション評価制度」の導入を発表した。マンションへのエネルギー管理システム(MEMS)の導入を促し、電力需要ピークカットの節電サービスなどに対応できる物件を増やす目的というが、軸になるマンション評価手法は東京都がすでに実施中の「マンション環境評価制度」のコピー版のようだ。

経産省の制度は、マンションディベロッパーなどが新築するマンションだけでなく、既存のマンションにサービスを後から導入する場合や、改築時の採用も同制度の対象となる。「マンション向けエネルギー管理システム(MEMS)」は専門のMEMS事業者(アグリゲーター)が提供し、導入する機器類に対して政府の補助金がつく。事業者のサービスを一年以上受ける場合は、導入費用の最大3分の1に補助金が下りるという。総額130億円の補助金を用意している。

導入機器は、電力量センサーやスマートメーター、通信機器などが対象だ。すでに先行的に審査した適合マンションが19件あり、同省では2013年度内に700―800物件まで増やす方針という。「スマートマンション」の評価を得たマンションの事業者は、付与された認定マークをマンション販売の宣伝用として自由に使える。METIsmartmanshon_MEMS_530px

ただ、この制度、どこかで聞いたことがあると思っていたら、東京都が2005年から都内で実施している「マンション環境性能評価制度」と評価方式がそっくり同じことに気付いた。東京都の制度は、マンションを環境評価の視点から★印で評価付けするもので、評価は、「建物の断熱性」、「設備の省エネ性」、「太陽光発電・太陽熱」、「建物の長寿命化」、「みどり」という5つの環境性能項目をつかう。このなかには、省エネもすでに入っている。

都の制度は、一項目に★が3つだから、5項目ですべて最高点をとると15個の★を得ることになる。マンションの評価を宣伝広告に活用できるのも同じ。経産省の制度も項目を定めてそれぞれを段階評価する点で同じ。ただ、都の制度は導入機器に対する補助金はない。逆に言うと税金を使わずに、マンションの市場価値を高める追加情報を提供する仕組みでもある。 また建物のグリーン性能を段階評価する制度としては、米国のLEED制度なども知られている。

東京都の制度自体に、ビジネス特許があるわけではないし、国が自治体の制度をコピーして悪いわけでもない。ただ、ポイントは、経産省が東京都のアイデアに敬意を表して、政策を借りたのかどうかだ。もしも、なんの断りもなくコピーしていたとすれば、どこかの国で横行するコピー商品ならぬコピー政策と呼ばれても仕方がないだろう。あるいは、原子力行政で失敗を重ね続けてきた経産省だけに、すでに知恵も配慮も枯れてしまい、自らがコピーしていることさえにも気づかないのかもしれないが。

 

http://www7.kankyo.metro.tokyo.jp/building/mansion/index.html