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東芝 北海道の小水力発電で水素製造・販売の実証実験 遠隔地の再エネ事業でも採算性向上へ(FGW) 

2015-07-04 22:43:48

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 東芝は環境省の委託事業として、北海道南東部の釧路管内白糠(しらぬか)町にある「庶路(しょろ)ダム」の水力発電を活用した水素製造の実証実験を今年度から5か年計画で始める。水力発電の電力で水素を作り、同町内などの酪農施設や温水施設の燃料にする。小水力発電など再生可能エネルギー発電の電力を、単に電力網で販売するだけでなく、移送可能な状態にし、燃料電池車等に供給することが可能となる。

 

 山間部にある小水力発電や風力発電などの課題は、送電網との接続コストがかさむと、事業採算性が悪化する点がある。そこで、直接の売電だけでなく、発電した電力を水素に変換し、トレーラー等で移送可能な燃料として供給するもの。CO2を全く出さない水素原料の供給が可能となり、工場で作る水素より「グリーン価値」が増す。

 

 今回の実証実験には東芝のほか、産業ガス大手の岩谷産業も参加する。2019年度までの5年間に総額20億円程度の事業費を投入するが、全額、国が補助する。

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 計画では、庶路ダムの落差を利用し、出力220kWの小水力発電機で発電する。その電気で水を電気分解して水素を製造する。製造した水素は気体の状態のまま高圧ボンベなどに詰めて貯蔵、トレーラーなどで同町と釧路市に運び、酪農施設や温水プールに設置する燃料電池の原料として活用する。

 

 東芝は太陽光、風力、水力発電などの再エネ発電を利用した水素関連技術を多数保有している。別途、神奈川県川崎市でも、水素を地産地消事業として展開する「H2One」と名付けた水素エネルギー供給システムの実証事業を始めており、今回の白糠町の事業を合わせて実証化を推進することになる。

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 白糠町では、再エネ発電で生成した水素を地域内で消費する「地産地消」とともに、水素燃料の売却で新たな雇用機会も見込める低炭素社会モデルの実現を目指す。

 

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/biz_local.html