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次世代航空機燃料イニシアティブ、国産旅客機「MRJ」にバイオ燃料-2020年の東京五輪で聖火運ぶ(各紙)

2015-07-09 16:16:09

MRJキャプチャ

各紙の報道によると、東京大学や日本航空、ボーイング、IHIなど産学官で組織する「次世代航空機燃料イニシアティブ(INAF)」は8日、バイオマスなどの非原油由来の航空機燃料を実用化するロードマップを発表した。

 

 INAFへの参加は、このほか成田国際空港、石油資源開発、伊藤忠商事、住友商事など合計46団体。

 

 バイオ燃料は植物や廃棄物をエタノールなどに加工するが、日本ではサトウキビやトウモロコシといった主力の原料を大規模に調達するのが難しい。また食品との競合問題もあり、INAFでは都市ゴミ、藻類、非食用植物などに分けて、実用化の可能性を追求してきた。

 

 ロードマップによると、原料となる非原油のエネルギー源としては、都市ゴミや微細藻類、廃食用油などの6種類を特定。それぞれの次世代燃料の実用化に向けたプラント設計や試運転、製造開始の時期を設定した。このロードマップでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、バイオなどの次世代燃料を使った国産小型旅客機「MRJ」が聖火を運ぶ計画を織り込んでいる。

 

 原料は都市ゴミと微細藻類、天然油脂、廃食用油、非可食バイオマス、木質草本系バイオマスの6種類。製造開始年度は、都市ゴミと非可食バイオマスが最も早く、2018 年度と見込んでいる。次に早いのは天然油脂で2019年度。残る3種類の原料も2020年度には製造開始を予定している。

 


 ロードマップでは、製造技術を確立する手順だけでなく、燃料の品質やコスト管理等も考慮した形で実用化を目指す。このため、従来型燃料との混合法の確立や輸送方法、空港や航空機での扱い方などの諸課題について問題点とその取り扱いを整備している。

 

 航空大手でつくる国際航空運送協会(IATA)は50年までに航空業界全体の二酸化炭素(CO2)排出量を05年比で半減するほか、20年に航空機のCO2排出量に上限を設ける行動計画をまとめている。

 

 特に、燃料の安定供給を確保するため、サプライチェーン網の確立をあげている。すでに石油大手などが、バイオ燃料の開発に着手している。鈴木真二東大教授は、「2020年はMRJとバイオ燃料の組み合わせで、環境に優しい航空機とアピールできるよう取り組む」と意気込みを語っている。