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大成建設 究極のグリーンビルであるエネルギー収支ゼロの「ZEBビル」 横浜での実証実験で国内初達成。狭い都市部での実現へ(FGW)

2015-07-08 14:46:50

ZEB1キャプチャ

大成建設は、建物全体で消費する一次エネルギーを実質的にゼロにする「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)を自社の技術センター(神奈川県横浜市)の「実証棟」で実現した。建物の年間のエネルギー収支ゼロを達成したのは国内で初めて。同社では、今後ZEBを実現する超省エネ技術と創エネ技術の高度化を進め、2020年には市場性のあるZEBを実現するという。わが国でもエネルギー効率化が技術的にも市場的にも、採算の取れる領域に近づいてきた。

 

 大成建設は「都市型ZEB」の実現に向けて、特別に設置した「ZEB実証棟」で昨年6月から1年間の実証実験を展開した。建物のエネルギー消費量を75%削減する省エネ技術を取り入れる一方で、エネルギー消費量の25%を太陽光発電による創エネ技術でカバーする組み合わせだ。

 

 その結果、エネルギー消費量が463MJ/m2・年、創エネルギー量が493MJ/m2・年となり、「都市型ZEB」を目指した建物として国内で初めて建物単体で「年間エネルギー収支ゼロ」を達成した。

大成建設技術センターZEB実証棟
大成建設技術センターZEB実証棟

 

 ZEBは経済産業省が2009年に「建物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用などにより削減し、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又はおおむねゼロとなる建築物」と定義し、開発普及を推進ている。

 

 同社は、今後のZEBの普及展開に向けた取組みとして、ZEBの計画・評価ツール「T-ZEBシミュレーター」を開発した。同シミュレーターは、今回の実証実験で得られたデータを活用した解析が行えるツールで、ZEB化のための計画・評価や年間エネルギー収支の検討を従来よりも高精度かつ短時間で行えるという。

 

 同ツールは、立地や周辺建物等の影響を考慮して、創エネ手段について、陽光・風力・地中熱などを選択するほか、省エネ手段についても、計画建物の特性などを踏まえて、エネルギー収支ゼロを達成するうえで最適な組み合わせを容易に見出すことができる。

 

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  大成建設のZEB普及に向けたロードマップ(クリックで拡大)出典:大成建設