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電力大手10 社の今年度上期販売量 前年同期比1.9%減少、7年半ぶりの4000億kWh台割れの低水準。企業向け低下に歯止めかからず(RIEF)

2015-10-19 12:16:41

denko1キャプチャ

 電気事業連合会の公表によると、2015年度上半期(4~9月)の電力会社10社合計の販売電力量は、対前年比伸び率1.9%減少と、7年半ぶりの低水準だった。特に産業向けの大口電力は2.8%減で3年連続で前年実績を下回った。

 

 10社合計の上半期販売電力総量は3958億kWh。半年単位での販売電力量が4000億kWh台を割ったのは、1997年度下半期に3900億kWhを記録して以来7年半ぶり。

 

 1997年度は米サブプライムローン問題で世界的に景気低迷期に入ったころで、電力消費の低迷は景気要因だった。現在の景気状況は、アベノミクスによる円高是正効果などで、大企業を中心にこれまでのところ比較的、順調に推移。

 

 このため、今回の企業セクター中心の電力消費低下要因は、2011年の東電福島原発事故以来、企業側のエネルギー効率化が進展していることや、電源リスク対策として新電力との契約増加、再生可能エネルギー促進のための固定価格買取制度(FIT)によって競争力のある大規模再エネ発電事業などが増えてきたことが複合的に効いているとみられる。

 

 企業のエネルギー効率化が進んでいることは、産業用電力需要の低下のうち、特にオフィスで使う業務用は、前年同期比3.7%減少だったことにも表れている。業務用は3期連続3%台の減少になる。企業だけでなく、自治体などの節電効果と、電気料金の安い新電力への移行、さらに新設のオフィスビルはエネルギー効率の良いグリーンビルディング化していることなどから、電力のオフィス需要の減少傾向は当分、歯止めがかからないとみられる。

 

 産業別に見ると、鉄鋼の電力需要が7.7%、紙パルプ6.4%、窯業・土石5.9%など、CO2排出量の多い産業の電力消費低下が目立った。これらの産業でも省エネ化の進展が電力需要を抑える効果を果たしているとみられる。

 

sales2015h1_1_sj.jpg  電力会社10社が2015年度上半期(4~9月)に販売した電力量と対前年比。電気事業連合会

 家庭向けの「電灯」は前年比で0.1%減に収まった。電気事業連合会によると、家庭での検針日数が前年と比べて長かったことで電力使用の捕捉率が高かったためとみられる。電力会社は自動検針を実施していないために検針日数が月ごとに変わり、特に件数の多い家庭向けの電灯では変動幅が大きいという。

 

sales2015h1_2_sj.jpg 産業用のうち主要7業種の販売電力量と対前年比。電気事業連合会