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新出光 木質バイオマスからの水素製造ビジネス、事業化断念。プラント機能せず(RIEF)

2015-10-23 18:01:38

bluetowerキャプチャ

 九州を中心にした石油販売事業の新出光(福岡市)は、子会社のイデックスエコエナジー(福岡県大牟田市)が2011年から取り組んでいた木質バイオマスをから水素を製造・販売する事業から撤退、同社を法的整理すると発表した。

 

 同事業は、2011年10月にイデックスエコエナジーが、日立造船製の製造プラント(通称:福岡ブルータワー)を福岡県大牟田市の大牟田エコタウン内に立ち上げ、間伐材等の木質チップをガス化して高純度の水素ガスを製造、それを親会社の新出光が工業用水素等の用途で販売することを目指し、準備を進めてきた。

 

 木質バイオマスから水素を製造する世界初の商用プラントとして、農林水産省の助成金の交付も受けていた。事業計画では、福岡県内から出る間伐材などを受け入れ、プラントのタワーで熱分解およびガス化した後、改質・精製を行い、15㌧/日の木材から約7,200㎥の高純度水素を製造する予定だった。

 

 プラントは設計上、同規模の水素をLNGから製造する一般的な場合に比べて、製造時におけるCO2排出量を年間で75%削減できるはずだった。しかし予定通りの安定的で高純度の水素ガスを製造できず、同社はこのままでは事業維持が困難と判断、事業撤退を決断した。

 

 新出光は事業化断念の理由として、当プラント自体に「技術的問題」があったとしている。具体的には、特許保有企業より説明を受けていた福岡ブルータワー最大の特徴である「ガス化過程におけるヒートキャリア(熱媒体アルミナボール)によるタール除去」が実現できなかった、という。

 

 ただ、同社は、「いかなる理由であろうとも、事業化を決定した責任はわが社にあり、本件の経緯について十分に社内で検証し、今後も社会に微力ながら貢献していく」と説明している。

 

 すでに製造プラント施設は9月末に閉鎖、イデックスエコエナジー社は法的整理を行う予定。イデックスエコエナジーはバイオマス水素の製造・販売を目的に2009年11月に設立。資本金は5,000万円(新出光100%出資子会社)。売上高0円(2015年3月期)。従業員数2名(2015年9月末時点)。

http://www.idex.co.jp/news_release/photo/pdf1_132.pdf