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天国へメッセージ「花火で届け!」  2万発 3月10日宮城で企画(東京新聞)

2011-12-05 19:01:21

泥をかき出すスコップ団=宮城県山元町で(スコップ団提供)
宮城県山元町を中心に、東日本大震災で津波被害を受けた家屋の片付けや掃除、泥かきをしている「スコップ団」が来年三月十日、震災発生の「3・11」の前日を期して、二万発の花火を仙台市の泉ケ岳スキー場で打ち上げる。そのパンフレットは、こううたう。「『僕たちは元気だぜ!!!』って天国に伝えたい」「“三月十日”が永遠に続きますように」 (飯田樹与)

泥をかき出すスコップ団=宮城県山元町で(スコップ団提供)





 スコップ団は、皆が勝手に駆けつける現地集合、現地解散の集団だ。インターネット上で集合を知り、東北のほか東京、名古屋、大阪などからはせ参じる若者たちだ。各地に後方支援スタッフもおり、スコップなど物資の調達やカンパ集めに奔走している。




 地震で亡くなった友人の子どもにがれきを見せたくない。そんな思いで、団長の平了(たいらりょう)さん(33)=仙台市=が始めた泥かき作業が発端だった。




 毎回、約五十人が集まり、津波に襲われた家の中を片付ける。「位牌(いはい)を見つけてほしい」といった要望に従って、思い出の品も捜し出す。外の草むらもくまなく捜して見つけたことも。単なる泥かきでなく、思い出を拾い集め、持ち主に返す作業だ。




 家屋は高圧洗浄機で、内装仕上げ前のようにきれいにする。取り壊す予定の家でも洗浄する。「矛盾しているかもしれない。ただ、めちゃくちゃな家を見たくないという人も、きれいにすることで、気持ちを持ち直すことも。心の負担が少しでも減れば」。団長も団員も、口をそろえる。




 スコップ団は「ボランティア」と名乗ることもない。いずれ知り合いになるかもしれない人の家を掃除するのだから、という。東京都大田区の伊藤春伽(はるか)さん(33)は三児の母。子育て中で被災地へは行けないが、海水を吸った泥でぼろぼろになったスコップを取り換えるため、メーカーにかけあい、被災地に送るなどした。「現地と連絡を取り合い、できることをしていきたい」と話す。




 花火大会のきっかけは、震災当日にけんかした夫を津波で亡くした初老の女性との会話だった。「愛している」と伝えられなかった女性の後悔を天国に届けたい。そこから企画が始まった。




 約二万人の死者・行方不明者。二万発の供養の花火は雲の上まで飛ばせば天国にいる人たちに見えるからと、雨天でも決行する。




 明日震災が来るとは、明日死ぬとは想像もしていなかった三月十日、天国に近い高い場所から、メッセージを送る。




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