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資源開発めぐり週に1人以上の犠牲者(Reuters)

2012-06-20 18:09:21

カンボジアの環境保護活動家チュト・ウッティさん(2012年2月20日、カンボジア・ココン州)
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カンボジアの環境保護活動家チュト・ウッティさん(2012年2月20日、カンボジア・ココン州)


ドン19日ロイター時事】天然資源開発に関連した人道問題を扱うグループ「グローバル・ウィットネス」は19日発表した報告で、土地や資源、森林をめぐる争いがますます暴力的になる中で、環境紛争による死亡者は1週間に1人以上に上るとの調査結果を明らかにした。

 報告によると、ブラジルやインドネシア、ペルーといった資源の豊富な国でのターゲット攻撃や衝突での死者は2011年だけでも少なくとも106人に上った。02~11年の累計では711人で、1週間に1人以上の割合となる。報告は、こうした紛争での殺人はとがめられずにすむ場合が多く、実行者が有罪となるケースはほとんどないとしている。

 報告は「世界の最貧国の多くが世界経済を押し上げる天然資源の在りかだというパラドックスはよく知られるところだ」とし、「これらの資源を確保しようとする競争が激化する中で、命を脅かされているのは貧しい人たちと活動家たちだ」と指摘した。

 報告によると、天然資源に関する取引は往々にして、当局者やエリート政治家、それに企業の間で秘密裏に結ばれ、対象となる土地や森林に住む人たちはその過程で何の発言権も与えられない。そして、声を上げようとした人はしばしば暴力に見舞われ、強制的に立ち退かされたり殺されたりする。

 さらに報告は「殺すのにもさまざまな形がある。例えば、コミュニティーと国家治安部隊の衝突、行方不明になったあと死体で発見されるケース、拘留中の死亡、1回あるいは複数回にわたる暗殺などだ」としている。

 殺人が最も多いのはブラジル、ペルー、コロンビア、それにフィリピンで、これらの国では週に1件以上の殺人事件が起きている。報告は「こうした傾向は資源をめぐる競争の激化と、それに伴う残虐性と不正行為を示すものだ」と指摘した。

 報告が挙げたフィリピンでの例では、新しい銅と金の鉱山プロジェクトに反対していたコミュニティーの指導者エリザー・ビラネスさんが、新聞を買いに行ったところをバイクに乗った2人組に銃撃されて死亡した。事件は09年に起きたが、被害者はその数週間前に、その地域の武装勢力に脅迫されていることを明らかにしていた。

 もう一つの例は今年4月にカンボジアで起きたもので、違法な森林伐採と土地収奪を調査していた環境保護活動家のチュト・ウッティさんが同国憲兵に射殺された。政府は事件の調査を始めたが、3日間で終わりにし、なぜ、どのようにして殺されたのかは明らかにしなかったという。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012062000398