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東海大、工場廃熱で発電 装置開発、5年後 実用化目指す(各紙)

2012-06-20 19:55:18

東海大は工場などの廃熱から電気を生成する装置を開発した(平塚市)
各紙の報道によると、東海大学は工場などの廃熱から高効率で電気エネルギーを生み出す動力装置を開発した。廃熱を音波に変え、装置内のコイルを振動させることで電磁誘導を

東海大は工場などの廃熱から電気を生成する装置を開発した(平塚市)


起こし発電する。京浜臨海部を中心に工場が集積している神奈川の特性を生かし、企業に連携を呼びかけ5年後の実用化を目指す。

「熱音響エンジン」は工学部の長谷川真也助教らが開発した。装置はパイプを円状につないだもので、熱を音波に変えるフィルターを3カ所に設置した。フィルター部分を加熱すると熱が音波に変わりパイプの中を移動し、コイルを通じて発電する。自動車などのエンジンに比べ、ピストンなどの部品が少ないため補修の必要がなく、低コストで生産できる。


 熱音響発電は雷鳴の原理を応用したもの。雷は空気の一部分を急速に加熱、膨張させ強い音波を生み出す。同様の現象をエンジン内のフィルターの細かい編み目で発生させることで強い音波を生成し、コイルの中で電気エネルギーに転換する。「パイプには100機以上のジェット機が離陸時に出す音波を循環させ、高いエネルギーを生産することができる」(長谷川助教)という。

長谷川助教によると、工場や自動車から出る廃熱のうち現在は65%程度が未利用のまま捨てられている。セ氏300度の条件下で開発した装置を使えば、この65%のうち18%の廃熱を電気に再生できるという。


 従来も同様の仕組みで発電する装置があったが7%前後だったという。温度が低いと音波が出にくいため十分な電気を確保できない課題があり、焼却炉の廃熱など500~700度に対応したものが多かった。




 長谷川助教らは約5年かけてフィルターの配置方法などのシミュレーションから発電効率を予測できる計算方法を確立。100~300度の工場や家庭の廃熱でも効率的に電気エネルギーを取り出せるようにした。




 今後、製造業など県内外の企業に連携を呼びかけてエンジンの実用化を進める。廃熱から工場内の電力を賄う仕組みを構築するほか、自動車燃料への応用や太陽熱を活用した発電にもつなげる。