HOME12.その他 |東京・外苑再開発問題で、作家の村上春樹さんが「反対」表明。「一度壊したものは、元に戻らない」と。東京都の「高さ制限」緩和措置の継続に「利権行政」の匂い漂う(各紙) |

東京・外苑再開発問題で、作家の村上春樹さんが「反対」表明。「一度壊したものは、元に戻らない」と。東京都の「高さ制限」緩和措置の継続に「利権行政」の匂い漂う(各紙)

2023-06-27 00:47:18

murakamiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、作家の村上春樹さんが25日、同氏がディスクジョッキーを務めるラジオ番組で、東京・明治神宮外苑再開発問題に触れ、「一度壊したものってね、もう元には戻りませんから」と指摘し、同開発の中止を支持すると明言した。現代日本の、歴史や文化の価値を否定して、「どこでも高層ビル」に作り変えてしまおうという、浅はかな現代日本のビジネス感覚を批判した。

 

 (写真は、ハフポストから)

 

 東京新聞やハフポスト等が報じた。村上さんは、TOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」で、「神宮外苑の再開発が色々と話題を呼んでますね」と語り出した。「ボクはヤクルト・スワローズのファンなので、東京にいる時は神宮球場に歩いて行けるところにずっと住んでいます」「昔はほとんど毎朝、外苑の周りをランニングしていました」などと、外苑前につながる自身の思い出を明かした。

 

 そのころ、ランニング中に顔見知りになったランナーとのエピソードを語った後に「そういう思い出も色々あって、僕は神宮外苑の再開発には、個人的に強く反対しています」「緑あふれる気持ちのいいあの周回ジョギングコースを、そして素敵な神宮球場を、どうかこのまま残してください。一度壊したものってね、もう元には戻りませんから」と続けた。

 

外苑の緑は全国の国民が寄進して実現した
外苑の緑は全国の国民が寄進して実現した

 

 1978年、村上さんはヤクルトスワローズの開幕戦を、神宮球場で観戦中に、小説の執筆を思い立ち、書き上げた「風の歌を聴け」が群像新人文学賞を受賞したことで、作家デビューを果たした。神宮球場にはその後も再三、観戦で訪ねているほか、外苑地区でのランニングについても自著でも引用している。

 

 外苑地区の再開発計画は、明治神宮と三井不動産、伊藤忠商事、日本スポーツ振興センターが共同で実施する予定。神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えてそれぞれを新たに建設するほか、地区内の樹木を約1000本伐採し、植え替える等の自然改変を施し、青山通り側に高さ190mと185mの高層ビルを2棟建築し、オフィス、ショッピング街に変貌させるとしている。https://rief-jp.org/ct12/134840?ctid=65

 

 同地区は本来は、東京都の風致地区条例により高さ15m超の建築制限が課されていた。だが、東京五輪の主会場として隣接する国立競技場の建て替えと合わせて制限が緩和され、五輪後も建築制限は元に戻されず、「どこでも高層ビル」の建設が可能になった。この建築制限の解除をめぐっては、実は、外苑地区の再開発を実現するために、「一時的イベント」である五輪をあえて誘致して規制緩和を実現させたという「策略」を指摘する向きもある。

 

 本来ならば、東京都は五輪後に隣接する外苑地区については、規制を元に戻すべきだった。ところだが、小池都知事も都庁の役人も、この点については明確な説明をしていない。「策略の主」と「ぐる」なのかもしれない。その「主」は、五輪を主導したとされる自民党の大物政治家だ。小池知事も、まだ自民党に戻りたいのかもしれない。都民を、国民を、欺く「利権再開発」の匂いが漂う。

 

 村上氏には、この再開発計画の表と裏を、いずれの日にか、新作の小説において、解き明かしてもらいたい。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/258974?rct=t_news

https://www.huffingtonpost.jp/entry/jing-gaien-haruki-murakami_jp_64982845e4b0c0ed59b32b8e