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日本弁護士連合会。東京・外苑再開発問題で、三井不動産等による環境影響評価書は不備とし、都に対して「評価書の再提出」、「再調査」を求め、その間の事業計画停止を要請(RIEF)

2024-03-16 21:03:54

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 日本弁護士連合会は、東京・外苑再開発問題で、三井不動産らの事業者が作成した環境影響評価書は「情報不足・調査手法の誤り及び科学的でない記載がある」と指摘する声明を公表した。そうした評価書は、東京都環境影響評価条例が求める客観的・科学的なものとは認められないとして、都に対し、事業者に「評価書の再提出」を求めるとともに、外苑の森の植生調査等について専門家の知見を得て調査審議し、事業者の評価書が「客観的・科学的」であることが明らかになるまで、事業計画の停止を求める、としている。東京都の行政責任がクローズアップされた形だ。

 

 日弁連が公表したのは3月14日付の「『神宮外苑地区第一種市街地再開発事業』に対する東京都環境影響評価条例の適用に関する会長声明」。同団体が問題視するのは、事業者の三井不動産等が作成した環境影響評価書の提出を受けた都が、条例に沿って適切な手続きをとったかどうかという点だ。

 

 都の環境影響評価条例では、三井不動産等の事業者は自らが都に提出した評価書案に対して、都知事から環境影響評価書案審査意見書が提出された場合は、その審査意見書や都民の意見書、関係区市町村長の意見、都民の意見を聴く会の意見に基づいて検討を加えたうえで、環境影響評価書を作成し都知事に提出しなければならないとしている。ここで盛り込まれるべき都知事や都民等からの意見も、環境影響評価の結論に至る考察の一環として客観的かつ科学的な検討を必要とする。


  しかし日弁連は、そうした手続きを経て作成されたとする三井不動産等の環境影響評価書には「情報不足・調査手法の誤り及び科学的でない記載がある」とし、ユネスコの諮問機関の国際的な非政府組織「国際記念物遺跡会議」(ICOMO:国内委員会「日本イコモス」)等が指摘する具体事例を列挙している。

 

 ①イチョウ並木に衰退が生じているものがあると確認されていたにもかかわらず、本評価書にはこの衰退について言及がない②都知事意見で「植物群落調査等の結果を生態系保全の目標設定に反映すること」を求められたが、三井不動産等が実施した群落調査はわずか6地点③評価書では植物の伐採数は1381本中、971本、移植70本とするが、東京都風致地区条例に基づく伐採申請は3000本を超えていることは評価書に記載されていない――等だ。

 

 

 そのうえで、「こうした『情報不足・調査手法の誤り、科学的でない記載』等がある評価書は、客観的・科学的であるとは認められないため、都の条例が求める環境影響評価書に該当するとはいえない」との評価を示している。さらにそうした事業者の対応は、条例が定める適法な公示ではないので、三井不動産等の事業者は当該事業を実施できないはずだと、断定している。

 

 三井不動産等の環境影響評価書の不備を指摘したうえで、声明は、都に対し、評価書の再提出を三井らに要求すること、及び東京都環境影響評価審議会において、森の植生調査について高度な知見実績を有する専門家の出席や資料の提出を要請して調査審議し、それらを通じて環境影響評価書が客観的かつ科学的であることが明らかになるまで、神宮外苑地区再開発工事の停止を検討することを求める、としている。

 

 日弁連の声明に対して、東京都の小池百合子知事は翌15日の定例記者会見で記者の質問に対して以下のようなやり取りをしている(小池知事「知事の部屋」/記者会見、令和6年3月15日から抜粋)。

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【記者】朝日新聞の土館と申します。昨日ですね、日弁連(日本弁護士連合会)の会長声明で、明治神宮外苑の再開発について、環境アセスが不適切だと、都に対しては、環境アセスの見直しや外苑地区再開発の工事の停止を検討することを求めるという声明が出されました。それについての受け止めをお願いします。

 

【知事】内容について承知はしておりませんけれども、環境アセスメントについてのご主張ということでございます。これについては都として条例、答申に従って、適切に推進、手続を進めてきたということでございます。それに尽きます。

 

【記者】もう一問加えて、関連してですね、都は昨年9月に事業者に対して樹木保全の具体策の提示を求めるよう要請をしました。事業者は年内ないし年始には出すと言ってはいたのですけども、それから半年が経った。その状況をどう受け止めていらっしゃるか、お考えを聞かせてください。

 

【知事】その点については、事業者に対して、こちらから要請をして、事業者はその旨を考慮しながら進めていただけるものと、このように考えております。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2024/03/15.html

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https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2024/240314.html

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100521_3.pdf