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ロシアがグリーンピースの船を連行した本当の理由。「北極を保護区に」キャンペーンで(Greenpeace)
2013-09-21 08:15:08
今朝、ロシアのロシア連邦保安局が北極海を保護区にと訴えているグリーンピースのアークティックサンライズ号に強制的に乗り込んで船を連行したというニュースが来た。これだけ聞くと、とても物騒な話に聞こえるが本当にそうなのだろうか?
ロシアの“半国営企業”ガスプロム
ロシアの“半国営企業”であるガスプロム。日本では業界の人を除いてあまり知られていない企業だが、時価総額で世界有数の巨大エネルギー企業で、プーチン大統領とも密接な関係を持つ。
そのガスプロムが威信をかけて進めているのが北極海での石油掘削事業だ。気候変動で北極の氷がとけているため、掘削が可能になってきたというわけで、2014年に世界で初めて北極圏で石油を掘削しようとしている。
北極海は、世界で唯一残された手付かずの海域
これまで北極海は、氷で覆われていたため人間の開発から逃れてきた。しかし、気候変動で氷がとけて海底に石油や鉱物があることがわかると各国が競って開発にのりだしている。
しかし北極海は、生物多様性の宝庫だ。ガスプロムが掘削を始めようとしている海域も、ホッキョクグマやセイウチなどの生息地に近い。石油掘削事業というのは、非常に危険な事業であって、万が一原油漏れ事故などが起これば厳しい気象条件の中で汚染は取り返しのつかないことになる。
石油メジャーである仏トタル社のクリストフ・ドマージュリー最高経営責任者も北極海の石油掘削には手を出すべきではないと発言している。
原油流出事故なんて起こらない?
半国策事業には安全神話がつきまとうことを、私たちは東電福島第一原発の事故で学んだ。今回のロシアのガスプロムの石油掘削プラットフォームの安全性も同様だ。
まずは以下のビデオをみてほしい。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=NtGIECJafmE#t=121
ロシアの石油開発は、陸上でもパイプラインのメンテナンス不備などによる原油流出が頻繁に起こっている。グリーンピース・ロシアの調査によれば、1万件以上、合計500万トンの原油漏れが毎年起きているという。
この量は、2010年に大問題となったメキシコ湾での原油流出事故の7倍の原油に当たるというから驚きだ。
さらにこちらのビデオをみてほしい。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=IpUfVYjXOyw#t=9
これが北極海で2014年に掘削をはじめようとしているガスプロムのプラットフォームの現状だ。非常アラームは壊れたまま、北極海の荒れた波でプラットフォームの非常階段が流されるシーンまで記録されている。
メキシコ湾で起きたような流出事故が北極の海上石油掘削基地で起これば、厳しい気象条件においての作業は困難であることから、北極海の脆弱な生態系は取り返しのつかない被害を受けることとなる。
グリーンピースは、抗議活動を通して世界中の人たちにこの現状を知ってもらいたいと、北極海のガスプロムのプラットフォームに向かった。そして、半国営企業の国策事業の現状を知られたくないロシア政府が過剰に反応したという構図だ。
すでにこのニュースは海外メディアで大きく報道されている。
英国BBCでは、平和的な抗議に対して過剰に反応するロシア沿岸警備隊の写真を掲載している。
さらに、ロシアが開発しようとしている海域が生物多様性にとって非常に重要であることの特集まで組んでいた。
非暴力直接行動は社会への警鐘
「グリーンピースの行動はやりすぎだ」という方も日本では多いだろう。しかし、石油プラットフォームによじ登ったりの抗議をするが、決して他人に危害を加えたり、暴言を吐いたりなどの抵抗をしない。
これは、非暴力直接行動というガンジーがおこなっていた抗議活動と同じだ。抗議の意思を示すために、破壊の現場に行って居座る。
残念だが、このような抗議がなければまったく知られないままに環境破壊がすすんでしまうことがたくさんある。原発事故でも学んだように、巨大な産業事故は一度起きたら取り返しがつかない。何らかの事故が起きてから怒りを覚えても元には戻らない。
今回に限らず、あらゆるグリーンピースの非暴力直接行動による抗議活動は、社会に警鐘を鳴らそうとしているものだ。そして実際にこのような非暴力直接行動が環境保護において多くの成果をだしてきた。
グリーンピースの抗議活動に関するニュースを聞いたときには、その活動の背景にある問題にこそ目をむけてほしい。
『北極を保護区に』キャンペーンについてもっと知りたい方は、過去の事務局長ブログをお読みください。
「北極を保護区に」壮大なキャンペーンがはじまる (2012年6月22日)
北極海の氷面積が最少 – 北極での石油開発を考える (2012年8月28日)
抗議活動はご自由に – オランダで驚きの判決 (2012年10月16日)
シェルが2013年の北極圏開発を中止 (2013年3月4日)
I Love Arctic – 北極の海底に300万人の声 (2013年4月20日)
トム・ヨーク、ダリル・ハンナ、アニー・レノックスも応援、女性6人が欧州最高層ビルによじ登った理由とは? (2013年7月12日)
ロシアがグリーンピースの船を連行した本当の理由。「北極を保護区に」キャンペーンで (2013年9月20日)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/46705/
ロシアの“半国営企業”ガスプロム
ロシアの“半国営企業”であるガスプロム。日本では業界の人を除いてあまり知られていない企業だが、時価総額で世界有数の巨大エネルギー企業で、プーチン大統領とも密接な関係を持つ。
そのガスプロムが威信をかけて進めているのが北極海での石油掘削事業だ。気候変動で北極の氷がとけているため、掘削が可能になってきたというわけで、2014年に世界で初めて北極圏で石油を掘削しようとしている。
北極海は、世界で唯一残された手付かずの海域
これまで北極海は、氷で覆われていたため人間の開発から逃れてきた。しかし、気候変動で氷がとけて海底に石油や鉱物があることがわかると各国が競って開発にのりだしている。
しかし北極海は、生物多様性の宝庫だ。ガスプロムが掘削を始めようとしている海域も、ホッキョクグマやセイウチなどの生息地に近い。石油掘削事業というのは、非常に危険な事業であって、万が一原油漏れ事故などが起これば厳しい気象条件の中で汚染は取り返しのつかないことになる。
石油メジャーである仏トタル社のクリストフ・ドマージュリー最高経営責任者も北極海の石油掘削には手を出すべきではないと発言している。
原油流出事故なんて起こらない?
半国策事業には安全神話がつきまとうことを、私たちは東電福島第一原発の事故で学んだ。今回のロシアのガスプロムの石油掘削プラットフォームの安全性も同様だ。
まずは以下のビデオをみてほしい。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=NtGIECJafmE#t=121
ロシアの石油開発は、陸上でもパイプラインのメンテナンス不備などによる原油流出が頻繁に起こっている。グリーンピース・ロシアの調査によれば、1万件以上、合計500万トンの原油漏れが毎年起きているという。
この量は、2010年に大問題となったメキシコ湾での原油流出事故の7倍の原油に当たるというから驚きだ。
さらにこちらのビデオをみてほしい。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=IpUfVYjXOyw#t=9
これが北極海で2014年に掘削をはじめようとしているガスプロムのプラットフォームの現状だ。非常アラームは壊れたまま、北極海の荒れた波でプラットフォームの非常階段が流されるシーンまで記録されている。
メキシコ湾で起きたような流出事故が北極の海上石油掘削基地で起これば、厳しい気象条件においての作業は困難であることから、北極海の脆弱な生態系は取り返しのつかない被害を受けることとなる。
グリーンピースは、抗議活動を通して世界中の人たちにこの現状を知ってもらいたいと、北極海のガスプロムのプラットフォームに向かった。そして、半国営企業の国策事業の現状を知られたくないロシア政府が過剰に反応したという構図だ。
すでにこのニュースは海外メディアで大きく報道されている。
英国BBCでは、平和的な抗議に対して過剰に反応するロシア沿岸警備隊の写真を掲載している。
さらに、ロシアが開発しようとしている海域が生物多様性にとって非常に重要であることの特集まで組んでいた。
非暴力直接行動は社会への警鐘
「グリーンピースの行動はやりすぎだ」という方も日本では多いだろう。しかし、石油プラットフォームによじ登ったりの抗議をするが、決して他人に危害を加えたり、暴言を吐いたりなどの抵抗をしない。
これは、非暴力直接行動というガンジーがおこなっていた抗議活動と同じだ。抗議の意思を示すために、破壊の現場に行って居座る。
残念だが、このような抗議がなければまったく知られないままに環境破壊がすすんでしまうことがたくさんある。原発事故でも学んだように、巨大な産業事故は一度起きたら取り返しがつかない。何らかの事故が起きてから怒りを覚えても元には戻らない。
今回に限らず、あらゆるグリーンピースの非暴力直接行動による抗議活動は、社会に警鐘を鳴らそうとしているものだ。そして実際にこのような非暴力直接行動が環境保護において多くの成果をだしてきた。
グリーンピースの抗議活動に関するニュースを聞いたときには、その活動の背景にある問題にこそ目をむけてほしい。
『北極を保護区に』キャンペーンについてもっと知りたい方は、過去の事務局長ブログをお読みください。
「北極を保護区に」壮大なキャンペーンがはじまる (2012年6月22日)
北極海の氷面積が最少 – 北極での石油開発を考える (2012年8月28日)
抗議活動はご自由に – オランダで驚きの判決 (2012年10月16日)
シェルが2013年の北極圏開発を中止 (2013年3月4日)
I Love Arctic – 北極の海底に300万人の声 (2013年4月20日)
トム・ヨーク、ダリル・ハンナ、アニー・レノックスも応援、女性6人が欧州最高層ビルによじ登った理由とは? (2013年7月12日)
ロシアがグリーンピースの船を連行した本当の理由。「北極を保護区に」キャンペーンで (2013年9月20日)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/46705/