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対ロ経済制裁強化の動きの中 東京で日ロ投資フォーラム開催 経産省・経団連が旗振り 米欧と違和感(FGW)

2014-03-19 23:39:39

日ロ投資フォーラム
日ロ投資フォーラム
日ロ投資フォーラム


ロシアのクリミア併合で、西側諸国の対ロ制裁の動きが高まるなか、東京で19日、第6回ロ日投資フォーラムが開幕した。ロシア側からは、経済発展省のアレクセイ・リハチョフ次官を団長に200名以上の代表団が参加。日本側代表団長には、茂木敏充経済産業相が務めるなど、実質的な官民合同の交流会。安倍政権のこのタイミングでのロシア急傾斜は、米欧との”違和感”を浮き彫りにしている。

 

岸田外相は、米国などのロシア制裁の行動と歩調をとって、ロシアとの新たな投資協定などに関する交渉を凍結すると発表した。しかし、以前から予定されていたとはいえ、今回の日ロ投資フォーラムには、ロシアから官民の大デリゲーションが東京入りし、日本側も茂木経産相のほか、経団連等が主要財界人を動員して迎え入れるという歓迎ぶり。まさに投資促進が目的の会合で、政治と経済の方向感の違いを象徴する形だ。

 

ロシアとの経済関係は、むしろ欧州諸国が深い。ドイツはすでに6000社がロシアビジネスに携わっており、フランスの対ロシア債権・投資は500億ドル近いといわれる。英国もロンドンの金融センターでは、多くのロシアビジネスが取り引きされている。しかし、現在の動向は対ロ経済制裁を強化して、そうした対ロ関係を根底から見直そうと動いている最中である。これに対して日本は、対ロ政策全面見直しの渦中で、逆に対ロ投資促進を打ち出しているわけで、米欧、特に米国から何らかの警告がある可能性も出ている。

 

こうした安倍政権のロシア急傾斜をロシア側は、もろ手を挙げて歓迎している。ボイス・オブ・ロシアの報道では、全ロシア社会団体「実業ロシア」のアレクセイ・レピク議長の今回の投資フォーラムへの見解が紹介されている。同議長は「ロシアと日本の実業界では協力への関心がこれまでになく高まっている」と述たうえで、「今、協力の可能性を逃すのは、許しがたい過ちとなるだろう。日本企業は決断までに時間がかかるが、その後は、数十年におよぶ信頼できるパートナーとなる」と日ロの関係強化を強調した。

 

見方によっては、日本に友好のパートナーを米国からロシアに切り替えてはいかが、と打診しているように聞こえる。しかし、クリミアを軍事力で一気に自国に編入するといった旧ソ連時代を彷彿させる「冒険主義」のロシアを、将来の安定した経済パートナーを見るのは、よほどのリスクテイカーだろう。日本の政治家、経済人には、歴史を踏まえ、現状の国際情勢を見極めて行動してもらいたい。

 

フォーラム参加の顔ぶれ(予定)をみると、ロシアのウリュカエフ連邦経済発展大臣のほか、連邦地域発展省などの主要官庁の次官クラス、ロスネフチ、トランネフチ、ガスプロムバンクなどの企業関係者らが参加する。日本側は経団連の岡素之ロシア委員長や、コマツ、味の素、三井物産、エーザイ、IHIなどの経営者らが名を連ねている。


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日ロ投資フォーラムのプログラムhttp://www.jp-ru.org/6forum/program1003.pdf