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香川県豊島で 不法産業廃棄物処分からの再生の象徴「オリーブ」の初の収穫祭(毎日) 

2014-11-03 14:06:08

産廃不法投棄現場の近くのオリーブ畑で、実を摘む参加者ら=香川県土庄町の豊島で2014年11月2日、鈴木理之撮影
産廃不法投棄現場の近くのオリーブ畑で、実を摘む参加者ら=香川県土庄町の豊島で2014年11月2日、鈴木理之撮影
産廃不法投棄現場の近くのオリーブ畑で、実を摘む参加者ら=香川県土庄町の豊島で2014年11月2日、鈴木理之撮影


国内最大級の産業廃棄物不法投棄問題を抱える瀬戸内海の離島・豊島(てしま)(香川県土庄町)で2日、島の再生の象徴として植樹されたオリーブの収穫祭が初めて開かれた。

産廃の処理は約8割が終わり、島では原状回復を図るプロジェクトが本格化。それに合わせてNPO法人「瀬戸内オリーブ基金」(事務局・豊島)などが企画した。たわわに実った実を島外の参加者と一緒に収穫し、「豊かな島に戻す」との思いを新たにした。

 

豊島は小豆島の西約4キロに浮かび、面積約14平方キロ、人口約1000人(2010年)。オリーブは2000年11月、産廃問題で住民側弁護団長を務めた故中坊公平さんや建築家の安藤忠雄さんが呼びかけて「瀬戸内オリーブ基金」が発足したのに合わせ、住民らが最初の約110本を植えた。近くの小豆島で古くから栽培されてなじみ深く、平和の象徴でもあるオリーブに「二度と事件を繰り返さない社会を目指すため、瀬戸内海から自然再生を発信する」との決意を込めた。現在は約1万平方メートルの畑に約1000本が植えられている。

 

オリーブは05年ごろから実を付けるようになり、今年は畑の水はけを良くするなどした効果もあり豊作に。基金は産廃処理のゴールが見えてきた今年、投棄現場の原状回復を図り、美しい島の環境を取り戻す「豊島・ゆたかなふるさとプロジェクト」を始めた。その一環で「再生の取り組みを伝えよう」と収穫祭を企画し、店頭募金などで活動に協力するカジュアル衣料品店「ユニクロ」と共催した。

 

この日は島外から約20人が参加。約900平方メートルの畑で黒く熟したオリーブの実約30キロを摘み、オリーブオイルの試飲などを楽しんだ。不法投棄の跡地も見学した。息子と参加した岡山県倉敷市の看護師、山根幸代さん(45)は「産廃問題が今も終わっていないことを再認識させられた。自分ができる範囲で、ごみの分別やリサイクルをしていきたい」と話した。

 

収穫祭は今月9、16両日にも開催予定(参加申し込みは締め切り)。基金では収穫した実をオリーブオイルなどに加工して、特産品として売り出す計画も進めている。

 

住民らでつくる「廃棄物対策豊島住民会議」事務局長で、基金の運営委員でもある安岐正三さん(63)は「公害調停の申請当初は世論に支えられ解決につながった。これからも島の取り組みを目に見える形で伝えていきたい」と説明した。【鈴木理之】

 

http://mainichi.jp/select/news/20141103k0000e040115000c.html