HOME |公正取引委員会 震災工事談合疑い NIPPO、前田道路など道路大手13社を強制調査(東京)復興を”食い物”に |

公正取引委員会 震災工事談合疑い NIPPO、前田道路など道路大手13社を強制調査(東京)復興を”食い物”に

2015-01-30 00:02:31

dangouPK2015012802100128_size0
dangouPK2015012802100128_size0東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事をめぐって談合していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は二十八日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、道路舗装最大手のNIPPO(東京)や前田道路(同)、日本道路(同)など大手業者十三社を強制調査した。


 対象となっている復旧工事の落札総額は約百七十六億円。公取委は二〇一一年の震災前から談合が繰り返されていたとみて、強制調査に踏み切った。検察当局への刑事告発も視野に調べる。




 調査を受けたのは他に、いずれも東京の大成ロテック、鹿島道路、大林道路、金沢市の北川ヒューテックなど。




 関係者によると、各社は遅くとも六~七年前から、東日本高速道路東北支社が発注する舗装工事の入札で事前に受注調整していた疑いが持たれている。この他、東北地方の国道工事でも談合の疑いがあるという。




 復旧工事には多額の国費が投入され、一一年に発注された東北自動車道や磐越自動車道など九路線の十二件も含む。入札調書によると、これらの工事はNIPPOなど十二社が一件ずつ受注していた。公取委の強制調査は〇六年施行の改正独禁法で新設された権限で、適用するのは八件目。

 


◆復旧最優先の裏で受注調整か


 


 東日本大震災では多くの道路が亀裂や崩落で寸断され、住民避難や支援物資の輸送に大きく影響した。復旧は最優先で急がれ、工事発注が相次ぐ裏で、受注調整が繰り返された疑いが浮かんだ。国土交通省の記録によると、震災では東北を中心に高速道路が十五区間、一般道も七百区間以上が被害を受け、一時通行止めとなった。




 津波が到来した太平洋沿岸の被害が特に甚大で、内陸の東北自動車道と、都内から青森県まで続く国道4号の修復を優先。震災翌日には緊急輸送道路として復旧させた。




 東日本高速道路によると、高速道で被害が大きかった区間は約八百七十キロに及んだ。当初は路面の段差を緩やかにするなどの処置で緊急輸送できるようにし、二〇一一年九月~一二年末、国から約四百九十億円の補助金を受け、本格的な復旧を行った。




 国交省によると、震災で被害を受けた高速道路や国道の復旧に充てた費用は、一一~一四年度で総額千百三十億円に上る。




 今回、強制調査を受けた舗装会社の一部は、過去に地方自治体や旧日本道路公団の発注工事で、談合の疑いなどで公正取引委員会の立ち入り検査や排除勧告を受けた。震災による工事急増で、複数ある業者間での仕事の分配が容易となった可能性も指摘されている。




 <東日本高速道路> 旧日本道路公団の分割、民営化で2005年10月に設立。政府が全額出資し、北海道から関東、信越地方の3788キロ(14年12月時点)を運営する。13年度の通行台数は1日当たり約280万台、料金収入は年間約6600億円で、道路を所有する「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」に賃借料約4600億円を支払った。通称「NEXCO東日本」。