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福島県内の放射性廃棄物中間貯蔵の安全協定素案判明、最終処分工程を毎年監視(福島民報)

2015-02-01 21:15:32

fukushimajyosenキャプチャ
fukushimajyosenキャプチャ除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、環境省とf福島県、大熊、双葉両町が締結に向けて水面下で調整している安全確保協定の素案が判明した。同省が、県外最終処分までの具体的な工程表を作成した上で、毎年、福島県と両町が進捗(しんちょく)状況を監視する項目が盛り込まれている。

協定締結は、福島県が政府に対し示した搬入受け入れの5条件の1つで、詰めの協議が行われている。

 

施設をめぐる協定の素案のポイントは下記の通り。同省が県外最終処分に向けたスケジュールの具体的な時期を記した工程表を作成する。さらに、進捗状況の報告を踏まえ、県などが必要に応じ、意見できる仕組みになる見通しだ。

 
同省は、中間貯蔵開始後30年以内の県外最終処分完了までの工程に関し、「主な流れ」を提示している。しかし、除染廃棄物の搬出に向けた各種作業の着手時期などは明示されていない。 素案では、県と両町が施設内に立ち入り調査できる権限を設けるとした。具体的には、施設周辺地域の空間放射線量の異常事態が生じた場合などを想定している。立ち入り調査をするのは県や両町の職員の他、県の専門家会議の委員を含めた学識経験者も含まれる。

 

さらに、同省が県、両町と協議した上でモニタリング計画を策定し、排水や地下水の放射性物質濃度などを測定する。測定結果は速やかに公表するとしている。同省と県、両町は、排水の基準をめぐって最終調整しているもようだ。

 

同省は中間貯蔵する廃棄物のうち、将来的に再生利用が可能な廃棄物は資源としての活用を推進する方針。素案では、再生利用が可能であっても受け入れ先の確保が困難な場合、県外での最終処分を行うとした。

 

施設の跡地利用では地元の意向を踏まえた上で地域振興などに利用されるよう同省、県、両町で協議を進める項目を盛り込んだ。
◎安全確保協定素案の主なポイント

▼施設周辺の安全確保に支障が生じた場合、環境省が責任を持って適切な措置を講じる。
▼施設のモニタリング計画の策定、実施。
▼県、大熊、双葉両町は施設で異常事態が生じた時などには施設敷地内に立ち入り、調査を行える。
▼県、両町は施設への立ち入り調査など状況確認の結果、必要があれば周辺地域の安全確保のために措置を講じるよう同省に要求できる。同省が対応するまでの間、県と両町は施設への除染廃棄物の搬入停止を求めることができる。
▼中間貯蔵開始後30年以内の県外最終処分完了に向け、同省が具体的な工程表を作成。進捗状況を毎年、県と両町に報告する。必要に応じて県と両町が同省に取り組みを促すことができる。
▼除染廃棄物の再生利用が可能でも、受け入れ先の確保が難しい場合は県外最終処分をする。
▼施設の跡地が地域振興などのために利用されるよう協議を行う。
▼施設の設置や運営で損害が生じた際には同省が適切に対応する。
■搬入開始 4条件の進展鍵

県は昨年9月に施設の建設受け入れを政府に伝達。その際、建設と廃棄物の搬入は別として、政府に対し5つの条件を提示した。5条件は下記の通り。県外最終処分の法制化は昨年11月に中間貯蔵施設関連法案の参院本会議での可決、成立でクリアした。

 

残りの4条件について県の担当者は「協議をしている段階で、4つは条件を満たしたとは言えない」としている。政府が搬入開始目標とする3月11日までにパイロット(試験)輸送を開始できるかは、4条件についての協議が進展するかどうかに懸かっている。

 

政府は3日から施設内で搬入した廃棄物を仮置きする一時保管場の工事を始める。

◎県提示の搬入5条件 

〇(1)使用開始から30年以内の県外最終処分の法制化
(2)中間貯蔵施設に係る交付金の予算化、自由度
(3)政府による搬入ルートの維持管理と周辺対策の明確化
(4)施設と輸送の安全性
(5)県、大熊、双葉両町との安全確保協定の締結
※〇は既に条件を満たしている項目

http://www.minpo.jp/news/detail/2015020120707