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2020年以降の政府の温室効果ガス削減目標案、90年比では11.5%減にとどまる。EUの4分の1(FGW)

2015-04-09 10:24:24

ondanka2キャプチャ
ondanka2キャプチャ9日、政府が2030年までの温室効果ガス(GHG)排出量の目標を、2013年比で20%前後削減で調整している、との報道があった。これまでの90年比でみると、約11.5%減で、欧州連合(EU)の90年比40%減に比べて4分の1程度と見劣りする。

 

政府は現在、原発再稼働を促進する経済産業省とGHG削減を推進する環境省の間で、2020年以降のGHG削減目標を調整している。すでに米欧などの主要先進国は、今年12月にパリで開く国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、今年第一四半期までに削減目標を打ち出しているが、日本は目標を定められない状態が続いている。

 

政府内の調整の焦点は、GHG(CO2)排出量削減の有力な発電手法として、原発再稼働の上昇を目指す経産省と、再生可能エネルギー発電に力を入れる環境省との間での交渉となっている。報道された2013年比20%前後削減の場合、削減手法として再エネ比率を現状の10%(水力含む)前後から23%~25%前後を見込み、原発比率は2割台とする方向という。

 

削減基準とする2013年の我が国のGHG排出量は、13億9500万トン(速報値)で、京都議定書の際の目標90年の排出量に比べると10.6%増と一割もかさ上げされている。「13年比20%減」を90年比でみると、11.5%減にとどまる。しかし、それでも再エネ発電の普及に反対する経産省は難色を示しているという。先進国としての国際的な責務を考慮せず、国内の電力会社の事情にのみ配慮したGHG削減目標の設定では国際的に恥をかくだけだ。