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パプアの地滑り、エクソンの開発方法に疑問符=日本も出資(Reuters) 日本企業はJX日鉱日石開発

2012-03-07 21:26:47

地滑りの現場を歩く人々(12年1月24日、パプアニューギニア・ノゴリ)
【ノゴリ(パプアニューギニア)6日ロイター時事】パプアニューギニアの高原地帯で今年1月に大規模な地滑りがあったが、この場所は米石油大手のエクソンモービルが建設中の天然ガス事業(総額157億ドル)の関連施設近くだった。これにより、世界のエネルギー業界で過熱している奥地での資源獲得競争に対する新たな疑問が生じている。

地滑りの現場を歩く人々(12年1月24日、パプアニューギニア・ノゴリ)




 地滑りは、エクソンが使用していた採石場を襲い、少なくとも25人が犠牲になった。ある専門家報告が採掘の安全性に疑問を呈していたにもかかわらず、地滑り事故に国際的な注目はほとんど集まらなかった。エクソンは天然ガス輸出事業のアップストリーム(上流部分)開発に必要な岩や砂利を採掘するため、この採石場をかつて使用していた。

 この事故をきっかけに、これまでの同様の事故発生時にエネルギー大手の反対派が挙げてきた争点も浮き彫りになった。それは、結果を出すことへのプレッシャー、請負業者の手抜き工事、それに政府の監視が届きにくい離れた場所での操業だ。

 エクソンは地滑り事故原因が不明だと述べている。

 パプア政府は、採石場が地滑りの原因だとの見方を否定しているが、地元住民、環境活動家、それに海外の地滑り専門家は納得しておらず、独立機関による徹底的な調査を求めている。きつい建設スケジュールに合わせるため採石を急いでいた証拠があるが、独立調査が実施される兆しは全くない。

 イタリアの民間コンサルティング会社アポロニアは昨年3月、エクソンの採石作業が環境的そして社会的な基準を満たしていないと指摘し、作業員が期限を守る圧力にさらされているとの結論を出していた。アポロニアの報告書は天然ガス事業の債権者の委託で作成されたもので、事故が発生した1月24日未明時点ではエクソンのウェブサイトの隅に掲載されていた。

 ある住民は地滑りの際、割れるような大きな音が周辺に響いたのを聞いた。採石場は崩壊し、その下にあった住宅は埋まった。地滑りの結果、幅500メートル以上にわたって跡が残っているほか、天然ガス事業関連施設へつながる道路も寸断された。地元知事によると、遺体は埋まったままだという。

 エクソンは、地滑りの発生する5カ月前の昨年8月、もはや必要なくなったとしてこの採石場を閉鎖していたことと、アポロニアの報告を考慮して採石場を安全にしていたことを明らかにした。同社はまた、パプアニューギニアの南ハイランド地域では地滑りがよく起こるとも指摘した。

エクソンは天然ガス事業を運営しており、33.2%の権益を保有している。オーストラリアのオイル・サーチとサントスも29%と13.5%と、かなりの権益を持っている。またパプア国営の石油会社が16.8%、日本のJX日鉱日石開発が4.7%、それに地元の地主団体が2.8%の権益を持っている。

 アポロニアはその後の報告で、採石場の状況は昨年8月までに改善したと述べた。

 しかし、一部の地元住民はエクソンがあまりに急速に採石場を拡大したと指摘し、エクソンに地滑りの責任があるとの主張の根拠として、アポロニアが昨年3月に出した報告を使っている。

 エクソンの広報担当者は、採石場がどれほど拡大したのかに関する情報がないとし、同社は作業場を確保するために14世帯を移転させる計画だったと述べた。採石場は長年、小規模の採掘のために使われていたが、2010年に同事業のための採掘再開が決まった。当初の計画では24カ月かけて採石場の面積を2倍にする予定だった。同社が実際に使用したのは15カ月だった。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012030700470?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0