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マイクロプラスチック汚染による健康影響、WHOが初の報告書。「現状では人体への影響みられず」。潜在的なリスク研究の必要性指摘。グローバルな実態・健康調査が必要(各紙)

2019-08-23 11:36:58

WHO1キャプチャ

 

  世界保健機関(WHO)は22日、飲料水に含まれるマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)の健康への影響についての調査報告書を公表した。それによると、現状では人体への影響はみられないとしたものの、将来的な潜在リスクに関してのさらなる研究の必要性を指摘している。

 

 マイクロプラスチックは、廃プラスチックは廃棄された海洋で汚染が広がり、収穫された魚類だけでなく、飲料水や塩などの日用品にも広範囲に含まれていることが確認されている。このため、人体への健康影響が懸念されており、WHOが、その健康影響について調査したのは、今回が初めて。

 

 今回の報告書は、水道水とボトル入り飲料水に含まれるマイクロプラスチックの影響を中心に分析した調査研究に焦点を当てた。

 

グローバルなプラスチック汚染状況
グローバルなプラスチック汚染状況

 

 報告書によると、マイクロプラスチックの汚染は広く拡散しているが、人体への明確な影響は確認できなかった、としている。ただ、WHOのネイラ公衆衛生・環境局長は声明で、影響が確認できなかったのはデータ不足が大きい、として「速やかに、より詳しい実態を調べる必要がある」と強調した。

 

 実際、今回の報告書は、WHOが新たに汚染状況や疫学調査を実施したわけではなく、既存の複数の研究結果を分析する形でまとめられた。一部研究成果によると、ペットボトルや水道水などの飲料水1㍑当たりに含まれているマイクロプラスチックの粒子は、0~1万個と幅があった。

 

 別の研究では、人体への影響について、プラスチック粒子が腸壁を通過して体内に吸収される可能性に言及するものもある。しかし、報告書は、「人間は常にさまざまな粒子を体内に取り込んでいる」と指摘している。現状ではデータ不足により確定的結論は出せないが、「健康上の影響を示す信頼に足る情報はない」としている。

 

 マイクロプラスチック粒子の表面に化学物質が吸着しているケースについて、人体への暴露量を多く見積もった事例では「低水準の健康への懸念がある」との結論も示されているという。ただ、そうした暴露量は通常の環境下ではあり得ない、としている。

 

 WHOのブルース・ゴードン(Bruce Gordon)水・公衆衛生担当調整官は、「今回の報告書の内容は、世界中の飲料水利用者を安心させるメッセージだ。われわれの分析結果に基づけば、リスクは低い」と述べている。

 

 WHOは、マイクロプラスチックの健康への影響について、より詳細な評価を行うよう研究者に呼び掛けるとともに、プラスチック汚染対策の強化が環境保護と人体へのマイクロプラスチックの脅威軽減になる、と指摘している。

https://www.who.int/news-room/detail/22-08-2019-who-calls-for-more-research-into-microplastics-and-a-crackdown-on-plastic-pollution