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「早過ぎる」「やむ得ない」 渦巻く賛否、県民複雑(福井新聞)福井県の人も悩んでいる

2012-04-15 23:56:10

福井の人も悩んでいる
福井の人も悩んでいる


「時期が早過ぎる」「やむを得ない」―。東京電力福島第1原発事故から1年余り。枝野幸男経済産業相が西川・福井県知事に関西電力大飯原発3、4号機の再稼働への協力を要請した14日、県民からは安全性を危ぶむ意見が出る一方、再稼働に一定の理解を示す声が聞こえた。賛否両論を口にする人が少なくなく、立地県として複雑な心情が表れた。(取材班)

「再稼働を判断するには時期が早過ぎる」と反対姿勢を明確にしたのは、あわら市田中々の調理師農田悟さん(30)。「示した安全基準は本当に妥当なのか甚だ疑問で、さらなる検証が必要。この1年節電などで乗り切れたのだから、電力不足に陥ることはないと思う」と、夏場に電力不足に直面するとの関電の説明にも疑問を投げ掛けた。

福井市板垣2丁目の自営業坪田文枝さん(53)も「福島県であれだけの事故を起こしておいて再稼働は早過ぎる。国がいう安全基準が本当に安全なのか甚だ疑問」と反対の姿勢。さらに「『地元の理解』が必要というが、立地自治体の住民や県民に誠意を持って説明しているとは思えない」と受け止めている。

越前市幸町の理容師大西実代さん(43)は「想定外だった福島原発事故を見てしまうと、政府が新たな安全基準を示し、安全だといくら説明しても信用できない」との思いが強い。一方で「今回の再稼働には反対だが、夏場に電力が不足するのなら仕方がないのかなとも思う」と揺れる心情をのぞかせた。

大野市下唯野の農業松田ひとみさん(56)は「政府の『安全』が何を根拠にしているのか分からない。(ストレステストの)一次評価だけでは不十分」との思いがある。ただ、再稼働には「賛成と反対、半々の気持ち。福島の事故が近隣県にまで被害が及んでいることから『地元』をもっと広域で考えた方がよいのでは。まず現場を見て、住民の意見を第一に聞いてほしい」と訴えた。

一方、越前町小曽原の自営業司辻校一さん(59)、福井市三郎丸2丁目の会社員佐々木健さん(33)は「経済や夏場の電力不足の懸念から再稼働は仕方ない」との意見。

ただし、安全安心が大前提で、佐々木さんは「高い安全基準を設定しないといけない。全国民を納得させることが再稼働の最低条件」とくぎを刺した。司辻さんも「関電が示した安全対策の工程表では、(緊急時に対策拠点となる)免震事務棟の整備など、再稼働前に実施する必要性が感じられるものが多い」と厳しい見方を示した。

福井市新田塚町のネイリスト堀邊麻裕子さん(25)も夏場の電力不足回避のため再稼働に一定の理解を示す。しかし、原子力が低コストとされている点には「コストは火力発電の方が低いとも聞いている。政府はどう考えているのだろう」と検証や説明を求めた。

敦賀市原の会社員奥田敏明さん(61)は電力不足に加え、火力発電による代替供給で二酸化炭素排出量が増えることを懸念。「慎重な判断の上での再稼働は妥当。再生可能エネルギーが主力になるには時間がかかり、今しばらくは原子力が必要と思う」と述べた。

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/34176.html