HOME |南極で、東京都の2.6倍の大きさの氷塊が、棚氷から分離、海洋へ流出。「アメリ―棚氷の『D-28』」。温暖化の影響ではない、というが、他の棚氷等の融解を誘うリスクも(RIEF) |

南極で、東京都の2.6倍の大きさの氷塊が、棚氷から分離、海洋へ流出。「アメリ―棚氷の『D-28』」。温暖化の影響ではない、というが、他の棚氷等の融解を誘うリスクも(RIEF)

2019-10-02 21:50:58

 

 南極の棚氷から、東京の約2.6倍の広さを持つ巨大な氷塊が切り離され、海洋に流出したことがわかった。南極の東側にある「アメリー棚氷」から切り離されたもので、「D-28」と名付けられた。専門家は温暖化の影響によるものではない、としているが、今後、他の棚氷の溶解の加速につながる可能性もあるという。

 

 アメリー棚氷は南極で3番目に大きな棚氷とされる。同棚氷の観測は1963-64年から継続して行われている。棚氷のうち今回の流出分(1636㎢)を含めて約6万㎢分はすでに海面に浮いた形となっており、今回の氷塊が全て溶けても、海面上昇にはつながらない。

 

この氷原が丸ごと、流れ出した。
この氷原が丸ごと、流れ出した。

 

 オーストラリアの南極局によると、棚氷が割れて氷塊が海洋に漂ったことが確認されたのは9月26日。観察を続けてきたオーストラリアの科学者によると、棚氷に亀裂が生じ、大規模な氷塊の分離が起きることは2000年代初めにわかり、分離時期は2010年か2015年とみられていた。

 

「D-28」の分離のメカニズム(Guardianによる)
「D-28」の分離のメカニズム(Guardianによる)

 

 オーストラリアの「Scripps Institution Oceanography」所属のHelen Amanda Fricker教授は「われわれの予測よりも時間的にはずれたが、壮大な棚氷の分離イベントをみて、興奮している。棚氷の循環的な現象の一部。60~70年ごとに大規模な棚氷分離が発生している」と述べている。

 

 オーストラリア南極プログラムの氷河学者のBen Galton-Fenzi氏は「海洋に流出した巨大な氷塊が、残った棚氷の下の氷にどのような影響を及ぼすか、南極大陸からの棚氷の分離のスピードにどう影響するかだ」。

 

https://www.theguardian.com/world/2019/oct/01/giant-iceberg-breaks-off-east-antarctica