HOME12.その他 |南極で、「赤い雪氷」が広がる。温暖化による記録的な高温の継続で、微細な藻の異常発生が原因。新型コロナウイルスとは無関係だが、ちょっと不気味。自然からの「赤信号」か(?)(RIEF) |

南極で、「赤い雪氷」が広がる。温暖化による記録的な高温の継続で、微細な藻の異常発生が原因。新型コロナウイルスとは無関係だが、ちょっと不気味。自然からの「赤信号」か(?)(RIEF)

2020-02-29 19:21:54

snow1キャプチャ

 

 気候変動の影響でこの冬(南極では夏)、記録的な高温を記録した南極で、雪氷が血の色のような赤色に覆われる現象が広がり、話題となっている。ウクライナの南極基地が報告したもので、同基地の研究者たちは「ラズベリー・スノー」と名付けた。原因は、赤い色素を持つ微細な藻の一種が気温上昇で一気に繁殖したためとされる。新型コロナウイルス肺炎の広がりとは関係がないが、不気味な世相を反映した気分にさせる。

 

 (写真は、「赤い雪氷」で覆われた南極のウクライナの観測基地)

 

赤い色素を持つマイクロ藻
赤い色素を持つマイクロ藻のクラミドモナス

 

 ウクライナの南極基地 Vernadsky観測基地からの報告として、ウクライナの教育科学省が写真付きで報告した。異常発生した藻はクラミドモナスとされる。緑藻綱クラミドモナス目(もしくはオオヒゲマワリ目)に属する単細胞の鞭毛中からなる属。赤色ないしピンクになるのは同属のC. nivalisによる。

 

 藻は極寒の冬の南極でも生き抜くことができる。春になり気温が上昇すると芽吹き、活発に活動することで知られる。同藻は紫外線を防ぐために、細胞の中にカロチンを含んでおり、藻が活動すると、このカロチンが発色する。南極以外にもアルプス等で同様の赤色反応を示すことから、「ウォーターメロンスノー(スイカ色)」としても知られる。

 

snow4キャプチャ

snow5キャプチャ

 

  今年の南極の夏(10月~2月)は、2月に南極半島北端の Esperanzで、観測史上で最も高い18.3℃の気温を記録するなどの異常高温に見舞われた。このため同藻を含め、多様な生物種の異常発生等が起きたとみられる。

 

 「赤い雪氷」は、見栄えが気になるだけではない。通常の白い雪氷だと日光を反射するが、赤などの濃い色だと反射が少なく、その分、氷の溶解が進むという。結果として、藻の繁殖がさらに進むとしている。ただ、藻の繁殖は自然現象なので、南極が再び寒くなれば藻の活動は弱まり、赤い雪氷は、次第に薄くなっていくとみられる。

 

 新型コロナウイルスといい、赤い雪氷といい、「母なる地球」は、自然のバランスを壊し続ける人類に対して、警鐘の意味での「赤信号」を点滅させているのかも知れない。

https://www.independent.co.uk/environment/red-snow-antarctica-research-station-ukraine-algae-climate-change-a9361091.html