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政府 原発損害賠償法改正タナざらし 福島以外の原発事故時に賠償できず “国のサボタージュ”日本の信用低下に(東京)

2013-10-07 16:28:39

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fukushimaactPK2013100702100054_size0東京電力福島第一原発事故を受け、二〇一一年八月に国会で原子力損害賠償法(原賠法)を「一年をめどに見直す」と決議したのに、期限を一年以上過ぎても、ほとんど検討が進んでいないことが分かった。重大事故が起きれば賠償額は兆円単位。これに対して、備えはわずか千二百億円の保険のみ。電力各社からは再稼働申請が相次いでいるが、住民への賠償面で大穴があいたままだ。 (岸本拓也)


 現行の原賠法では、事故の責任は基本的には電力会社にあるが、巨大な天災などが原因の場合はあいまいになっている。福島の事故では、賠償や除染の事業費で少なくとも五兆円はかかることが確実だが、電力会社が備えているのは一原発当たり上限千二百億円の保険だけだ。




 福島の事故を受け、国は急きょ原子力損害賠償支援機構法を成立させ、国が支援機構を通じて東電に賠償資金を支援し、各電力会社が数十年かけて国に返済していく仕組みをつくった。




 この仕組みは形式的にはどの原発にも適用できるが、実質的には福島の事故のための暫定的なもの。各社が機構に納めている積立金(負担金)も国への返済に消え、次の事故に備えた積み立てではない。




 国会は機構法を成立させる際、国の賠償責任を含め、原賠法を「一年をめど」に抜本的に見直すと付帯決議した。だが、国は原子力政策がまだ決まっていないことなどを理由に具体的な見直しを先送りしている。




 一方、東電を含め、五つの電力会社が七原発の再稼働を原子力規制委員会に申請。新しい規制基準に基づく審査は淡々と進んでおり、今冬にも再稼働する原発が出てきそうだ。安倍政権は「規制委が安全と判断した原発は活用する」と再稼働を推進するが、国の賠償責任のあり方を放置したままでは無責任との批判は免れない。




<原子力損害賠償法> 日本で原発が商業運転を始める前の1961年に制定。原発事故などで周辺に損害が出た際の賠償制度を定めている。「被害者の保護」とともに、加害者となる「原子力事業の健全な発達」も目的に掲げ、法律の専門家から批判の声がある。福島第一原発事故では東電の能力を超える賠償金が発生、政府は暫定的に原子力損害賠償支援機構を設立し、東電に資金援助しながら賠償している。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013100702000124.html