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福島原発20キロ圏内で稲刈り 3年ぶり、地元農家「豊作だが不安」(時事) 消費者も不安です。しっかり検査を

2013-10-08 16:35:39

東京電力福島第1原発事故で警戒区域に指定されていた地区で、3年ぶりにコメの収穫作業を行う坪井千賀子さん=8日午前、福島県田村市の都路町地区
東京電力福島第1原発事故で警戒区域に指定されていた地区で、3年ぶりにコメの収穫作業を行う坪井千賀子さん=8日午前、福島県田村市の都路町地区
東京電力福島第1原発事故で警戒区域に指定されていた地区で、3年ぶりにコメの収穫作業を行う坪井千賀子さん=8日午前、福島県田村市の都路町地区


福島県田村市の都路町地区で8日、3年ぶりとなる稲刈りが行われた。東京電力福島第1原発事故後、旧警戒区域の20キロ圏内で出荷用のコメが収穫されたのは初めて。備蓄米として国が買い取るほか、個別の顧客向けに販売する。
 坪井久夫さん(63)は午前9時すぎ、コンバインで稲刈りを開始した。妻の千賀子さん(60)は田んぼの隅を手刈りする。坪井さんは「くず米もなく品質は悪くない。豊作だ」と笑顔で手応えを語った。3日ほどで2.6ヘクタールを全て刈り終える。収穫量は約12.5トンを見込んでおり、来年は作付面積を倍にするという。

 
 坪井さんは、帰還を前提とした自宅への長期宿泊が8月に認められるまでの3カ月間、仮設住宅から片道1時間かけて地区内の田んぼに通った。「朝4時に起き、戻るのは夜中。とにかく無我夢中だった」と振り返る。

 
 「検査済みのラベルが貼られるまで安心はできない」。野菜の放射性物質濃度の値や、昨年の試験的な栽培での検査で「コメも大丈夫だ」と自信はあるが、不安も拭い切れない。全袋検査では基準値未満の値は出ないため、改めて民間業者に持ち込んで数値を調べるといい、「ここでコメ作りをする者の責任だ」と語る。

 
 今年は、自家用と顧客用を除いた分はすべて国の備蓄米として出荷する。「不作でも国の補償が受けられる2016年度までに、何とか自立しなければ」と坪井さん。検査結果を踏まえ、流通米の割合を上げたい考えだ。

 
 坪井さんは「地区から避難した人たちを元気づけたい。来年からコメ作りを始める人もいて楽しみ。勢いがつけばいい」と、少しでも帰還が進むことを望む。

 

http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2013100800290