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政府 東電の再建計画を認定へ 「事故責任風化させない」(福島民報)

2014-01-15 12:51:00

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fukushima9eb0ace7cb87e6c28f0928b2a588efde-300x22612政府は東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を15日にも認定する。計画では、国が原子力損害賠償支援機構を通じて保有する東電株の議決権比率を2030年代前半にゼロにし、脱国有化を完了する。柏崎刈羽原発は今年7月以降に6、7号機などの再稼働を見込む。10年間で累計4兆8000億円の経費削減や東電とグループ会社で計2000人の人員削減などを盛り込んだ。
 脱国有化のため利益第一となり、福島第一原発事故の対応や賠償は不十分にならないか。計画の前提である柏崎刈羽原発の再稼働は不透明だ。人員を減らし、廃炉は進むのか。加害企業・東電の責任は廃炉完了まで40年間、決して風化させてはならない。

 
 本県の復興業務強化では、平成26年度に福島第一原発は社内分社化する。27年度にJヴィレッジ(楢葉・広野両町)の福島本社を避難指示区域に移し、前線基地とする。

 
 東電の依願退職者は原発事故発生後、25年度末まで累計で1700人に達する見通しだ。本店の経営戦略部門の社員や原発技術者が4割、年齢別では40歳未満の若手・中堅が約7割を占める。廃炉の担い手不足が生じ、中核業務への支障が懸念される。

 
 第一原発の社内分社化で、事故対応の切り離しの懸念がある。中途半端な改革で人材流出は止まるのか。500人規模を確保するという福島専従のベテラン管理職は早晩、定年を迎える。持ち株会社制に移行すれば、経営陣や社員の原発事故に対する責任感は薄れる。廃炉を見据えた長期戦略と思えない。大株主の東京都の知事選が間近に迫り、経営に一層の不透明感が漂う。

 
 汚染水対策や廃炉は、利益を追求する株式会社の仕事だろうか。「国策」と位置付けて、作業を進める官庁か独立行政法人を設立すべきだ。身分や収入を保障する組織なら人材も集まる。廃炉を国の成長戦略に据えてはどうか。

 
 東電の計画は、柏崎刈羽原発の再稼働による収益改善が前提となる。金融機関や株主に対する責任を果たすには、利益追求が必要だ。一方で東電は、賠償金や除染費用を国に肩代わりしてもらう。最終的に支払い義務があるが、当面は国民の血税が使われる。

 
 東電に融資する金融機関、計画を容認する関係官庁は、重い国民負担と、県民約14万人が避難する原発事故の現実が見えないのか。計画は見直すべきだ。日本航空並みの破綻処理で東電の債務や資産を整理し、責任を取らせる道もある。(小池 公祐)

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2014011513279