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廃炉加速へ国際条約 政府、年内にも 企業の訴訟リスク回避(福島民報)

2014-04-24 13:10:08

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fukushimalossキャプチャ政府は年内にも、東京電力福島第一原発の廃炉作業に海外企業が参加しやすくするため「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」を米国など4カ国と締結する。条約を結ぶと、廃炉作業などに伴う各種事故の責任は東電が負うことになり、海外企業は損害賠償を請求されない。優れた知見を持つ外国人技術者を多く確保できれば、廃炉作業が加速すると期待される。
■外国人技術者確保狙う

経済産業省資源エネルギー庁によると、海外の企業や研究機関は技術者が廃炉作業で事故に遭った場合、高額の賠償金を請求されると懸念し、福島第一原発への派遣をためらうケースがある。廃炉に関する米国などの最先端の知見を結集するため、政府はCSCを締結し企業や研究機関の訴訟リスクを軽減すべきと判断した。

 

条約に基づく日本国内での訴訟手続きの例は【図】の通り。原発事故による損害賠償訴訟は事故発生国で行い、裁判は発生国の国内法を適用する。日本の原子力損害賠償法(原賠法)には、原子力事業者に責任を集中させる内容が盛り込まれている。このため、福島第一原発で発生したあらゆる事故について、被害者は東電に損害賠償を請求することになる。

 

福島第一原発周辺に設けられる、日本原子力研究開発機構のモックアップセンターなど廃炉関連施設での事故も条約の対象になるとみられる。

 

一方、日本の原賠法に基づき判決が下されるため、日本の電力会社は、他国の算定基準によって膨大な賠償金を請求される可能性がなくなる。廃炉や原発事故の損害賠償を抱える東電は、新たな金銭負担の発生を回避できる。

 

CSCは1997年にIAEA(国際原子力機関)が機関決定した。これまでに、条約の趣旨に賛同した米国のほか、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニアの4カ国が締結している。日本は国会で承認を得た上でIAEAに申請する。日本が加わると5カ国以上の発効要件を満たし、初めて効力を持つ。カナダや韓国も締結を検討している。

 

同庁はCSC締結について「訴訟リスクに非常に敏感な米国などの企業が福島第一原発の廃炉作業に参加しやすくなる」と説明。その上で「海外の知見を集め、福島の復興を加速化させたい」と期待している。

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http://www.minpo.jp/news/detail/2014042415279