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元原発作業員が東電などに1100万円の損害賠償提訴 「現場の高濃度放射線量を知らせず。低い値を伝え、無用の被爆を強いた」(各紙)

2014-05-07 23:13:57

提訴後に記者会見する元従業員氏
提訴後に記者会見する元従業員氏
提訴後に記者会見する元従業員氏


東京電力福島第一原子力発電所で、事故直後に働いた元作業員(48)が、「作業現場の放射線量が高いことを知らされないまま作業をさせられ、被ばくした」と主張し、東京電力や下請けの企業などを相手に、1100万円の損害賠償を求める訴えを福島地裁いわき支部に起こした。
訴えを起こしたのは、福島県いわき市に住む男性。訴状によると11年3月24日に3号機のタービン建屋地下で下請け作業員として作業に加わった。その際、事前に会社側から「空間線量は10ミリシーベルト程度」との説明を受けたという。

 

作業の最中、地下に湯気が出る水たまりがあり、そこから警告音が鳴った。しかし、作業中断の指示は出ず、続行させられた。その後の調査で、作業を行った場所での外部被ばく量は20.49ミリシーベルト、内部被ばく量は13.1ミリシーベルトと、当初の説明の線量を大きく上回っていたことがわかった。

 

男性が作業を継続させられたのは約1時間半で、およそ20ミリシーベルトを超す被ばくを受けたと主張している。男性は、「放射線量が高いことを全く知らされず、無用な被ばくをした。裁判を通じて、第一原発の労働環境の改善を求めたい」と訴えている。原発の事故後に働いた作業員は、これまでに3万人を超えているが、東電の健康管理の杜撰さが大きな問題になっており、今回の訴訟以外にも複数の作業員からの告発が相次いでいる。

 

東京電力は訴えについて「詳細は承知していませんが、訴えの内容や主張を詳しくうかがったうえで、真摯に対応して参ります」とのコメントを出した。