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福島第一の原発所員約650人、事故時に命令違反し撤退 「吉田調書」で判明 朝日新聞が報道

2014-05-20 16:30:07

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yoshida20140520124902syoasida朝日新聞の報道によると、東京電力福島第一原発の事故発生時の所長だった吉田昌郎氏(2013年死亡)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)において、東日本大震災が発生した4日後の2011年3月15日に、第一原発の所員役9割の650人が所長の命令を無視して、10km南の第二原発に避難・撤退していたと記されていることがわかった。

(注・本記事は朝日新聞が2014年9月11日に朝日新聞が吉田調書の報道の内容を削除する前の同紙の記事に基づいています。FGW)

 

朝日新聞は、その後、第一原発の放射線量は急上昇したことから、所員撤退で事故対応が不十分になった可能性がある、と指摘している。同紙が「吉田調書」入手し、公開した。東電はこの事故時の所員の命令違反による”集団離脱”の事実をこれまで公開してこなかった。

 

原子力規制委員会の田中俊一委員長は同報道に対して、「調書の存在は知らない」と述べた。また菅官房長官は20日の閣議後記者会見で、調書について「読んでいない」とするとともに、「吉田元所長を含めヒアリングは公開しない」と調書を国民に公開しない姿勢を示した。

 

ただ、報道によると、第1回の聴取の際、政府事故調は吉田氏に対して、「お話しいただいた言葉がほぼそのままの形で公にされる可能性があるということをお含みいただいて、それでこのヒアリングに応じていただきたいと思います」と説明した。これに対して吉田氏は「結構でございます」と即答した、という。

 

公開を前提で吉田氏が語ったものを、現政権がどういう政治判断で非公開とするのか、なんのために非公開でなければいけないのか、菅官房長官は、いや安部首相は国民に明確にする責任があるだろう

 

報道によると、2011年3月15日午前6時15分ごろ、吉田氏が指揮をとる第一原発免震重要棟2階の緊急時対策室に重大な報告が届いた。2号機方向から衝撃音がし、原子炉圧力抑制室の圧力がゼロになったという内容だった。2号機の格納容器が破壊され、所員約720人が大量被曝するかもしれないという危機感に現場は包まれたという。

 

その時点では緊急時対策室内の放射線量はほとんど上昇しておらず、吉田氏は、格納容器はまだ破損していないと判断した。っその後、午前6時42分、吉田氏は前夜に想定した「第二原発への撤退」ではなく、「高線量の場所から一時退避し、すぐに現場に戻れる第一原発構内での待機」を社内のテレビ会議で命令した。

 

「構内の線量の低いエリアに退避し、その後異常の有無を確認できたら戻ってくる」ということだ。調書には、待機場所は「南側でも北側でも線量が落ち着いているところ」と記録されている。ところが、吉田氏の証言によると、所員の誰かが免震重要棟の前に用意されていたバスの運転手に「第二原発に行け」と指示し、午前7時ごろに出発したという。

 

自家用車で移動した所員もいた。道路は震災で傷んでいた上、第二原発に出入りする際は防護服やマスクを着脱しなければならず、第一原発へ戻るにも時間がかかった。9割の所員がすぐに戻れない場所に移動したことになる。

 

その中には事故対応を指揮するはずのGM(グループマネジャー)と呼ばれる部課長級の社員もいた。過酷事故発生時に原子炉の運転や制御を支援するGMらの役割を定めた東電の内規に違反する可能性がある。

 

吉田氏は政府事故調の聴取でこう語っている。「本当は私、2F(福島第二)に行けと言っていないんですよ。福島第一の近辺で、所内にかかわらず、線量が低いようなところに1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、2Fに着いた後、連絡をして、まずはGMから帰ってきてということになったわけです」

 

第一原発にとどまったのは吉田氏らわずか69人。第二原発から所員が戻り始めたのは同日昼ごろだ。この間、第一原発では2号機で白い湯気状のものが噴出し、4号機で火災が発生。放射線量は正門付近で最高値を記録した。



〈吉田調書〉 政府事故調が吉田氏を聴取した内容を一問一答方式で残した記録。聴取時間は29時間16分(休憩1時間8分を含む)。11年7月22日から11月6日にかけ計13回。そのうち事故原因や初期対応を巡る聴取は11回で、事務局に出向していた検事が聴取役を務めた。場所はサッカー施設Jヴィレッジと免震重要棟。政府事故調が聴取したのは772人で計1479時間。1人あたり約1・9時間。原本は内閣官房に保管されている。

http://www.asahi.com/articles/ASG5L51KCG5LUEHF003.html