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自民党が押し切った原子力規制委員人事 田中知氏は次期委員長の可能性も 透明な「人選基準」無視 政府の原発政策への不信さらに高める(共同)

2014-06-11 14:19:28

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Œ´Žq—Í‹K§ˆÏˆõ‰ï‚̐lŽ–ˆÄ原子力規制委員会の委員に 田中知 (たなか・さとる) 東大大学院教授らを充てる政府人事案が10日、衆院本会議で可決された。東京電力の関連団体から報酬を受け取るなど「原子力ムラ」との関係が深い田中氏の起用は、民主党政権時代に中立性を重視して政府が定めた人選基準を「無視」し、再稼働を推進する自民党政権が数の力を背景に押し切った形だ。

 ▽報酬

「財団は原子力関連の事業者や団体ではない」(原子力規制庁幹部)。田中氏は東電の関連団体「東電記念財団」が助成する研究事業の審査を2007~11年度に担当し、財団から計300万円近い報酬を受けていた。

財団の理事長や理事は東電の歴代幹部が顔をそろえ、東電からの寄付金を元手にした電力会社の社債などの運用益で運営しており、政府側は苦しい説明に終始している。

民主党政権が12年7月に定めた人選基準は福島第1原発事故を教訓に、規制当局と癒着があった原子力ムラとの決別を目的に作られた。同一の原子力事業者などから年50万円以上の報酬を受け取った者を認めていない。

田中氏が東大大学院原子力国際専攻のトップを務めていた08年には、東電が1億5千万円の寄付を申し出て「寄付講座」が創設された。寄付は事故を理由に11年9月に打ち切られたが、総額約9千万円に上るという。

▽露骨

田中氏は核燃料サイクルなどが専門。事故後の11年6月に日本原子力学会会長に就任したほか、学会の事故調査を主導し「原子力ムラの中心人物」ともやゆされる。

10~12年には「日本原子力産業協会」の役員も務めた。人選基準は「直近3年間に原子力事業者や団体の役員、従業者だった者」には資格がないと定める。政府は「無報酬だから問題ない」と主張するが、基準に例外規定は明記されていない。

石原伸晃環境相は「基準は民主党政権の政策で、自民党政権は(新たに)作らない」と強調。野党からは「あまりに露骨な原発推進人事」との声も上がる。

 ▽委員長含み

批判が強まる中、政府が田中氏にこだわるのは、再稼働を急ぎたいためとみられる。 更田豊志 (ふけた・とよし) 委員が担当する原発の安全対策の審査を、田中氏との2人体制にして効率的に進める狙いがある。

政府関係者からは「田中知氏は次の委員長含み」と、 田中俊一 (たなか・しゅんいち) 委員長の任期の3年後を見据えた人事との見方もある。

地震や津波に関する審査が厳しいとして、自民党議員から交代を求める声が出ていた 島崎邦彦 (しまざき・くにひこ) 委員長代理が、東北大の 石渡明 (いしわたり・あきら) 教授に代わることも再稼働推進の後押しになるとの見方が強い。

国会の事故調査委員会メンバーだった 野村修也 (のむら・しゅうや) 弁護士は「透明性の高い選任手続きをしないと国民の不信感が残る。下手くそなやり方だ」と指摘している。