HOME |森林除染 林野庁 福島県内の4市村で9月にも大規模実証事業 林業再開へ効果探る 膨大な費用の可能性(福島民報) |

森林除染 林野庁 福島県内の4市村で9月にも大規模実証事業 林業再開へ効果探る 膨大な費用の可能性(福島民報)

2014-07-31 17:13:35

fukushimaforestキャプチャ
fukushimaforestキャプチャ東京電力福島第一原発事故の影響で管理ができずにいる森林の再生に向け、林野庁は9月にも田村、南相馬、川内、飯舘4市村で森林除染の実証事業に着手する。

それぞれ数10ヘクタール規模で面的な除染を行い、効果的な除染方法や作業員の被ばくを抑える作業手法などを調べる。大規模な森林除染の実証事業は初めてで、林業の早期再開と帰還住民の放射線への不安解消につなげる。

 
実証事業の予定地は【地図】の通りで、国が直轄で除染する「除染特別地域」の民有林で実施する。面積は、4月に避難指示が解除された田村市都路地区が約30ヘクタール。南相馬市小高区は約10ヘクタール、川内村毛戸地区は約30ヘクタール、飯舘村二枚橋地区は約10ヘクタールで、いずれも避難指示解除準備区域となっている。

 

事業費は約3億円で、除染の効率や作業員の被ばくの低減、コスト削減などの観点から森林の再生に適した工法を絞り込む。事業者が決定次第、早ければ9月にも着工し、来年3月まで行う。

 
林野庁によると、山林に拡散した放射性物質の大半は土壌に固着しており、下草のまばらな斜面では風雨などで放射性物質を含んだ土が流出する可能性がある。このため、実証事業の柱に森林の間伐や皆伐(かいばつ)を位置付け、伐採した木を活用して柵などを作って表土の流出を防ぐなどの方策も検討する。

 
作業員の被ばく低減対策では、木材をチップ状に砕いて山肌に敷き詰め、空間放射線量を下げる。運転席に覆いが付いた林業機械や防護ベストなどを利用して作業した場合の被ばく線量も分析する。

 
4地域の特性に応じた事業も展開する。田村市都路地区では、原発事故前に盛んだったシイタケ栽培用の原木の生産再開を目指し、広葉樹林で6~9割の立木を伐採して20年後に原木となる苗木を植える。南相馬市などでは、樹木の部位別に放射性物質濃度を測り、汚染状況を詳細に把握する。間伐などの作業工程ごとに、放射性物質を含んだ粉じんがどれだけ舞い上がるかも調べる。

 
林野庁の担当者は「これだけの規模の実証事業は前例がない。知見を集め、今後の方向性を見いだしたい」としている。

 
除染特別地域の森林除染をめぐっては、環境省は民家の周辺約20メートルの森林などを除染してきた。しかし、住民が立ち入らない奥地の森林については除染ガイドラインに方針や具体策を明記しておらず、森林再生に向けた長期的指針が示されていないのが現状だ。林業の早期再開を目指す県や林業関係団体などは、林野庁に面的な実証事業を求めていた。

http://www.minpo.jp/news/detail/2014073117172