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福島第一原発放射能汚染による最終処分場建設 関東4県も苦慮 千葉、茨城、群馬では、候補地提示もできない(河北新報)

2014-08-18 17:44:52

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saishuushobunnjyo20140817041jc福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、宮城県は3市町の詳細調査受け入れを表明した。各候補地が建設や調査に反発する中で苦渋の決断となったが、国が同様に建設を計画する他の4県もそれぞれ対応に苦慮している。

指定廃棄物の一時保管の長期化に不安が募る一方、風評被害への懸念も根強いという点で、各県の悩みは共通だ。(報道部・水野良将)

<栃木 独自検証>
環境省によると、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル超の指定廃棄物の総量は6月末現在、12都県の計14万6009トンに上る。国は、全体の83%を占める福島県に次いで保管量が多い宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県に、処分場建設を計画する。
保管量が5県で最多の栃木県。環境省は7月30日、塩谷町を詳細調査候補地に選んだ。町内には国が全国名水百選に認定した湧水群がある。町は「自然を守るために建設反対」との方針だ。
県は独自の有識者会議を設置し、放射線や地盤などの専門家らが選定の経緯や基準に欠点がないかどうか検証する。
福田富一知事は「有識者会議を活用し、疑問や不安に丁寧に対応しながら一日も早い処分場整備につなげたい」と語る。

<千葉 民有地も>
千葉、茨城、群馬の3県では、候補地の提示にすら至っていない。
千葉県内からは国有地や県有地に限定せず、民有地も対象に1カ所が選ばれる見通し。環境省は、選定対象をめぐり同県の市町村長会議で「県内の最適地を確保してほしい」と提案があったことなどを考慮した。宮城、栃木両県では、候補地選定に際し民有地が含まれなかったのと対照的だ。

 
茨城県の市町村長会議では建設地を1カ所に絞るか、複数箇所で長期保管するかが論点となっている。

 
橋本昌知事は「どちらが良いかは市町村長の意見を十分に踏まえて対応したい」と語る。環境省によると、同県の指定廃棄物の放射性物質濃度は他4県に比べ低い。

 
群馬県では、汚泥などを7市村の公的機関で保管する。「他県に先駆けた宮城県の調査受け入れ決定を前向きに捉え、参考にしたい。できる限り早く、より安心を確保できる場所に保管することが必要だ」と県の担当者は言う。

<行動力を示せ>
環境省が2012年3月に公表した指定廃棄物処理方針は「14年度末をめどに必要な処分場の確保を目指す」と掲げる。石原伸晃環境相は再三にわたり「国が責任を持って処理する」と強調する。

 
村井嘉浩知事は「調査は3市町で同時実施されなければならない。何が何でも受け入れてもらうという情熱が伝わるような行動力がないと打開できない」と国に求める。

◎宮城県の状況/加美はあくまで反対

2012年10月の市町村長会議で県内1カ所に建設することを申し合わせた。国は14年1月、候補地として栗原市、大和町、加美町の国有地を提示。栗原市、大和町が建設に反対、加美町は詳細調査受け入れにも反対する中、今月4日、村井嘉浩知事が受け入れを表明した。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140818_71010.html