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国連派遣チーム福島原発事故報告書の「日本は原発を制御できていない」との表現。外務省が表現修正を求め抗議するも却下(各紙)

2014-09-11 23:47:41

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fukushima9eb0ace7cb87e6c28f0928b2a588efde-300x2262011年の東日本大震災の直後、日本に派遣された国連チームが作成した報告書で、東京電力福島第1原発の事故を「コントロール(制御)できていない」と記述したことに対し、外務省が「表現が強すぎるのではないか」と非公式に抗議して、表現の修正を求めていたことが、分かった。

 

当時は原子炉の冷却が十分できず水素爆発が相次いでいたほか、その後の調べで、1~3号機では炉心溶融も起きていた。国連チームは日本政府の問題意識の甘さと、厳罰事故の重大さとを踏まえ、政府のコントロール能力の不足を指摘した。

 

それに対して、外務省が抗議をしたのは、まさに事故を過小評価していた政府の姿勢を映すものといえる。日本の官僚機構の「失敗を認めず、失敗を極力、小さく取り扱おう」とする姿勢の表れといえる。

 

日本に派遣されたのは、国連災害評価調整(UNDAC)のチームで 地震、台風など災害時に被害状況の把握や、必要な支援を調査するのが主な役割だ。2011年3月16日付でまとめた福島原発事故についての報告書では、原発建屋で水素爆発が続いた状況を踏まえ、作業員の一時退避の動きに触れ、危機が「スティル・ノット・アンダー・コントロール(制御できない)」と指摘した。

 

当時の活動に参加した国連関係者の一人は「日本外務省の抗議は理解できなかった。もし『制御されている』と書いたら、被災地の住民らは納得しただろうか」と述べた。報告書は国連チームの判断で結局、手直しはされなかった。

 

UNDACチームの受け入れを担当した外務省の緊急・人道支援化は「当時の記憶を調べたが、該当するものが見つからなかった」としている。証拠隠滅をしたのだろうか。