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日本学術会議 原発事故被災者対策で 「長期待避・将来帰還」の『第三の道』を提唱。政府主導の「早期帰還策」の修正を要請(FGW)

2014-09-26 13:13:38

gakushutukaigiキャプチャ
gakushutukaigiキャプチャ日本学術会議は25日、震災・原発災害等に伴う住民被害の復興について、政府が推進する早期帰還策と、移住などの住民の自発的対応との二者択一とは別に「第三の道」の実現を目指すべきとする提言をまとめた。

 

公表されたのは「東日本大震災からの復興政策の改善についての提言」で、日本学術会議の社会学委員会「東日本大震災の被害構造と日本社会の再建の道を探る分科会」がまとめた。同分科会の委員長は、8月に死去した船橋晴俊法政大学教授が勤めた。

 

提言は、東電福島の原発震災も、津波被災も、政府が実施している復興政策は、国の政策に「のる」(第一の道)か、「のらない」(第二の道)か、という二者択一を被災住民に迫るものになっていると指摘。

特に原発事故対応では、政府は住民の総危機感推進と、そのための除染を優先させてきた。しかし、事故原因の解明はいまだに不十分であり、尾泉水問題も未解決、序先行かも十分でない、あどから、子育て世代の多くが帰還を選択しないという状況を生んでいる。

しかし、住民の「第二の道」である移住の場合、移住先での生活再建支援策が手薄いうえ、東電の賠償は住民の要求を満たすものではないばかりか、精神的損害とうに対する賠償を順次打ち切ろうとするなど、住民に対して「被爆や孤立覚悟で帰還するか」「十分な賠償や政策支援のないまま自力移住を決意するか」という選択を強いていると、分析している。

 

提言は、こうした現状分析を踏まえて、住民にとっての「第三の道」として、「(超)長期待避・将来帰還」という考え方を提示した。すなわち、避難先での被災者の生活再建を長期にわたって政策的に支援するとともに、元の避難自治体のコミュニティを維持し、住民が安心して帰還できる程度にまで長期待避を続け、放射線量が低下した時点で帰還を実施するアプローチである。ここで、待避帰還が5年以上の場合を「長期待避」、30年以上の場合を「超長期待避」と位置づけている。

「第三の道」を選ぶ住民に対しては、二重の住民登録、被災手帳の発行、セカンドタウン(町外コミュニティ、仮の町)の提供、初等・中等教育を担う学校の維持、復興まちづくり公社などの「政策パッケージ」の実施を提案している。

 

また、こうした「第三の道」政策が効果を発揮するためには、住民や自治体による取り組み体制の構築がカギを握るとして、援住民による「集団主体形成の場」を基盤とすることを求めている。

 

長期待避を行う避難者のために必要な政策として、住民票の二重登録の実現や、復興事業や健康管理などの対象者を定める被災者手帳の配布、セカンドタウン(町外コミュニティー、仮の町)の再検討、小中学校・高校の維持などが必要だと指摘した。

 

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t200-1.pdf