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ウクライナの原発事故 発生は公表の5日前だった。放射能漏れ無しを確認後に公表か(?) ウクライナ政府の情報操作に批判(FGW)

2014-12-05 21:58:00

ウクライナのヤツェニュク首相
 

ウクライナのヤツェニュク首相
ウクライナのヤツェニュク首相

内外の報道によると、3日に明らかになったウクライナのザポリージャ原発の事故の発生は、事故が外国メディアに報道される5日前だったことがわかった。ウクライナ政府が報道管制を敷いていたとの指摘もある。事故は同原発3号機の変圧器の故障だった。


 

最初の報道となったロイター電は3日。その時点で、ウクライナのエネルギー相は事故発生が5日前の11月28日だったと認めている。しかし、公表が遅れたことについての説明はなされていない。事故自体は、原子炉のトラブルではなく、変圧器のショートだったが、同原発からの送電が停止されたため、ウクライナの各地で停電が発生した。

 

ロシアの国際メディアである「ロシアの声」は、「ウクライナのマスメディアには、事故について一切報じてはならないという指示が出された」と報道した。外国のメディアの報道が先行したのは、放射能漏れがないことを確認したうえでのことだったとしている。ロシアはウクライナと対立していることから、ロシア側の報道はウクライナ政府の「失態」をあえて強調している面がないとはいえないが、なぜ事故発生後、直ちに公表しなかったのかは疑問が残る。Ukraine-NUCLEAR-PLANT-medium

 

1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の後、他の国に被害が及ぶ恐れのある原子力施設におけるあらゆる事故については国際原子力機関(IAEA)へ通報することを義務付ける国際条約が採択され、ウクライナも条約に加盟している。しかし今回のトラブルは結果的に放射能漏れを伴うものではなかったようだが、ウクライナの公表が遅れたことは事実といえる。また、IAEAも事故に対するコメントを出していない。

 

ロシアとウクライナは、厳しい対立状態が続いており、双方が相手国を批判する情報統制を展開している事情もある。だが、原発のトラブルは政治・軍事的思惑を超えて深刻な影響を与える問題だ。自国にとって不利な情報だからといって、他国にも影響する情報の公開を遅れせる行動は、現に慎むべきだ。ロシア側にも


ザポリージャ原発の原発は6基あり、欧州最大の規模で知られる。全体で6000MWの発電量を誇る。同事故の影響で、欧州株式市場が一時的に上昇幅が縮小するなど、欧州全域に不安感が広がった。