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原発と歩んだ集落「廃炉寂しい」 美浜町、新たなビジネスに期待も(福井新聞)「これまで事故がなくてよかった」とは思わないんだな

2015-03-18 22:48:42

fukuimihamaキャプチャ
fukuimihamaキャプチャ関西電力美浜原発1、2号機と日本原電敦賀原発1号機の廃炉が正式に決まった17日、地元住民はかつて大阪万博に“原子の灯”を送った輝かしい歴史を思い「寂しい」と漏らした。

]一方で原発停止による景気低迷に苦しんできた産業界には、ついに動き出す廃炉ビジネスに期待の声も。半世紀ぶりの節目の日、複雑に思いが交錯した。

美浜町竹波で父の代から続く民宿を営む畑憲正さん(62)は、目の前の美浜原発が運転を始めたころのことを、今もよく覚えている。「大阪万博では送電を伝える大きな垂れ幕が1、2号機に掲げられよく見えた。この集落は本当に原発と歩んできたから、廃炉は寂しい」

老朽原発の廃炉を仕方ないとは思いつつ、不安も募る。県内屈指の人気を誇る海水浴場「水晶浜」の地元であっても、10軒弱ある民宿は、原発作業員がいなければ成り立たない。「仮に廃炉で原発がなくなれば集落消滅の危機だ。次の世代に残していくためにも、リプレース(原発の建て替え)を進めてほしい。集落には変わるものがないのだから」。春本番を思わせる昼下がり、ワカメを干す手を休め、力を込めた。

敦賀市松島にある人材派遣業のパーソネルサービスは、日本原電や関電の協力会社に事務員を派遣していたが、原発停止から徐々に減ってきた。原発関連に限ればピーク時の約90人から20人以下に激減し、苦しい経営が続いている。川島博社長(69)は「正直言って廃炉が決まったことはうれしい。いくらか雇用が生まれる可能性がある」と話す。また、廃炉作業に関しては「安全第一で進めながら、先駆者としての技術を確立して世界に示してほしい」と期待を寄せる。

プラント設備配管工事業の高山興業(同市野神)の高山俊之代表取締役は「1号機廃炉は想定していたので慌ててはいない」と冷静に受け止めながら「ある程度の仕事が見込めるようになり、(長期停止中の)現状が大きく変わる」と話す。

同社は日本原子力研究開発機構の新型転換炉ふげんの廃炉作業にも携わっており、廃炉決定を新たなビジネスチャンスと見る。高山さんは「いつから、どんな仕事が出てくるのか、作業工程を早く明らかにしてほしい」と求めた。

美浜町河原市の建設業、北山大志郎さん(45)は「原発は生まれたときから普通に稼働していた。廃炉になると財政や経済状況がさらに悪化するのではないかという不安は確かにある」と言う。

続けて「町民みんなが一つになって新たな方向性を見つけていかないといけない。それをネガティブにとらえる人もいるが、自分たちでできることを考え“原発頼り”から転換する、前向きな一歩と考えたい」と町の将来を見据えた。

 

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/66558.html