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経産省、東電福島第一と老朽原発以外、ほぼ全原発再稼動で「原発比率20~22%」確保を宣言。福島第二原発も全機稼動へ(各紙)

2015-04-23 21:58:16

経産省が再稼動対象に含めたとみれる東電福島第二原発
経産省が再稼動対象に含めたとみれる東電福島第二原発
経産省が再稼動対象に含めたとみれる東電福島第二原発


各紙の報道によると、宮沢洋一経済産業相は23日、エネルギー政策の焦点である2030年の電源構成比率をめぐり首相官邸で関係閣僚と会談し、廃炉が決まっている東電福島第一原発と老朽化廃炉5機を除く全原発を再稼動させて「20~22%」とする経産省案を提示した。

原発依存度は2011年3月11日の東電福島第一原発事故前の2010年度は28.6%で、それより比率は下がるようにみえる。だが、事故廃炉となる福島第一原発6機と、老朽化によって廃炉が決まった関電の美浜1、2号機など5機分が、比率低下の対象で、それ以外の原発はほぼすべて再稼動させることを前提としている。

 

再稼動の対象には、福島県が与野党一致で求めている福島第二原発も全機再稼動対象に含まれている模様。 事実上の「全原発再稼動路線」の表明といえる。

 

宮沢経産相は会合後、記者団に「(電源比率は)全く決まっていない」と述べた。経産省は28日に開く有識者委員会にこの案を素案として示すとしている。そうだとすると、福島事故前から原発行政を所管してきた経産省は、原発行政を一切、変更・修正しないで、従来どおりの原発推進路線を踏襲することを宣言したともいえる。

 

各紙によると、安倍首相周辺は当初、原発比率を18~19%とする方向で検討を進めていたという。福島原発事故前と同じ2割台では、世論の理解が得られないとの懸念からという。

 

経産省はそうした官邸の思惑を否定する形で、自分たちの原子力行政の一貫性(誤った一貫性)を追求する態度に出たともいえる。一方、経産省原案では再生可能エネルギーは22〜24%とする。こちらは、福島事故後のFIT導入以降の13年度の10.7%から2倍に増える。

 

しかし、環境省が「2030年に可能」と試算した最大35%の比率の半分ほどでしかない。再エネ比率を拡大できるとなると、原発比率の確保が難しくなることから、再エネ比率を抑え、原発比率を目いっぱい高めたといえる。原発のコストは安全対策や廃炉費用まで含めると、各国でコストアップが続いており、今後も続くと見られる。今後、技術進歩でコストダウンが見込める再エネとのコスト比較を冷静にすれば、どちらが国民経済に貢献するかは明白だ。