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次世代の第四世代原発開発で 仏原発監視機関が「いずれも現行原発より安全性が向上するといえない」と分析(FGW)

2015-04-29 21:45:44

nuke4generationキャプチャ
nuke4generationキャプチャロイター電などによると、各国で開発が進んでいる第四世代原子力発電所について、フランスの原発監視機関のIRSNは、「いずれの第四世代原発も現在の原発より必ずしも安全とはいえない可能性がある」との見解を示した。

 

現在、米国、日本、フランス、ロシアなど第四世代原発の開発に取り組んでいる国々は、「第四世代国際フォーラム(Generation IV International Forum:GIF)」を構成、定期的に技術評価等の検討を進めている。第四世代原発には、熱中性子炉タイプと高速炉タイプのそれぞれに、3つの異なった形式の原子炉の開発が進んでいる。

 

IRSNはこれらの6形式の開発状況の分析として、今世紀前半に実用化が可能なものは、ナトリウム冷却高速炉(SFR)だけとした。しか、そのSFRも、他の形式も、現在のものより安全性が高まるとは言い難いと結論づけた。

 

IRSNの評価は、第四世代原発の開発に取り組んでいるGIFの参加当事国(13か国)が、技術安全評価についての初めての重要な評価となった。

 

現在、世界で稼働中の原発の多数(約400基)は、第二世代の加圧水型(PWR)で、いずれも1970年~90年代に設置された。東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発はこのタイプに属する。第二世代には加圧水型のほか、沸騰水型、CANDU炉、改良型ガス冷却炉などがある。

 

第二世代型を改良した第三世代原発には、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)や改良型沸騰水型原子炉(BWR)などがあり、ABWRには東電柏崎刈羽原発6,7号機や中部電力浜岡原発5号機などがある。

 

またフランスArevaの欧州加圧水型炉(EPR)や、東芝傘下の米WestinghouseのAP1000などは第二世代原発を基本としながら、安全性を高めたタイプとして知られる。このため第三世代+と呼ばれることもある。第四世代は原子炉の冷却システムなどのデザイン自体を変更したもので、発電効率と安全性を高めるものと期待されている。

 

各タイプの第四世代原発j技術について、IRSNは、最も技術的に進んでいるナトリウム冷却高速炉でも、ナトリウムが水や空気と反応しやすい点の解決という課題があると指摘。またいずれも発電後に生じる核分裂物質を燃やしきることができない、という点も課題としている。また日本なども開発している超高温原子炉(VHTR)については、安全性が高まる期待があるが、実際にそうなるかは定かでないとしている。

 

また新型炉の技術は、操作する人間がなじんでいないことから、ヒューマンエラーを引き起こしやすいという問題もある。