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日本原子力機構 福島第一原発の原子炉内溶融燃料で、仏政府と処理方法の共同開発へ(福島民報)

2015-05-08 11:29:57

fukushimanukeキャプチャ
fukushimanukeキャプチャ東京電力福島第一原発1~3号機の溶融燃料取り出しに向け、いわき市の日本原子力研究開発機構(JAEA)福島研究開発部門は、フランス政府と共同で、原子炉格納容器内に落下した燃料の状態を研究する。

 

フランス南部にある政府の専用施設を活用し、溶融燃料の成分や落下後の硬度を分析する。廃炉工程の難題とされる取り出し方法の技術開発に生かす。

 
JAEAによると、フランスの原子力・代替エネルギー庁は1990年代、炉心溶融したチェルノブイリ原発事故の状況把握のため、溶融燃料の落下実験を行った。今も専用施設に格納容器底部のコンクリートを侵食した状態の燃料が残る。

 
両機関はこの物質を活用し、溶け落ちた燃料がコンクリートや金属片と混合した場合の成分変化、硬さなどを初めて分析する。福島第一原発の燃料と同一成分ではないが、溶融後の状態を推定し、取り出しに必要な切断などの技術や方法、安全確保の検討に役立つと期待される。

 
フランスの専用施設は事故対策や安全性を高めた原子炉を研究するため設置された。日本国内には同様の施設がなく、フランス政府の協力を得たことで溶融燃料の解明に弾みがつくとみられる。

 
JAEAは平成26年度から準備を進めてきた。今年度は研究者2人程度を派遣し、同庁の専門家と共同で研究・分析し、結果をまとめる。28年度以降、福島第一原発の燃料の状態をより忠実に再現する実験を視野に入れる。1~3号機の燃料の他、格納容器の金属やコンクリートと同一成分の資材を使い、あらためて燃料を溶融し、落下させることを想定している。

 
共同研究の成果は、JAEAや大手メーカー、電力事業者らで構成する国際廃炉研究開発機構(IRID)による取り出し技術の検討や開発に生かす。廃炉作業の具体的な技術対策を示す原子力損害賠償・廃炉等支援機構の「廃炉戦略プラン」にも反映させる。支援機構は30年度前半までに取り出し方法を選定する予定だ。

 
溶融燃料の取り出しは廃炉作業の最大の課題とされる。原子炉建屋の放射線量が極めて高く、燃料の状態が今なお解明されていないためだ。このため、東電は今年4月に実施した1号機を手始めに、小型ロボットによる内部調査を進める。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2015050822632