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栃木県北部の3市町 福島県内に限定した東電の賠償対象地域以外で初の原発ADR申し立て。放射能拡散被害は県境では区切られない(各紙)

2015-06-15 13:18:26

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各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で、漏えいした放射線物質の被害を受けた栃木県北部の那須塩原市、大田原市、那須町の住民ら7128人が15日午後、東電への総額18億5千万円の損害賠償を求めて、国の原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介手続き(原発ADR)を申し立てた。東電が賠償対象としていない地域の住民が集団で原発ADRを申し立てるのは初めて。放射能被害は県境で人為的に歯止めがかけられたわけではなく、広く拡散し、被害を拡大したことを主張している。

 

 「栃木県北原発被災者弁護団」によると、原発ADRを申し立てる3市町では、原発事故後に福島県中南部と同程度の空間放射線量を計測した地域があったが、東電はそれらの地域住民に対して福島県のように一律賠償を行っていない。

 

 今回の申し立ては、東日本大震災が起きた当時、3市町に住んでいた住民。東電に対して、①精神的苦痛への慰謝料(1人当たり12万〜72万円)と、事故後の生活費増加分の支払い②申立人への謝罪③健康調査や除染実施のための基金の設立−−などを求める。

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原発ADRは、原発事故の賠償に関する国の指針に基づき「原子力損害賠償紛争解決センター」が迅速な被害者救済を図るための裁判外の紛争解決手続き。東電との交渉がうまくいかない被災者が申し立てると、センターが調査と仲介を経て和解案を作成する。双方が合意すれば和解が成立する。合意しないと本訴訟に移行する。

 

 弁護団長の尾谷恒治弁護士は「自主的避難対象区域と同等の放射線量が認められるにもかかわらず、一切賠償されていないのは不合理な区別だ。東電には7千人を超える人が声を上げたことを真摯に受け止めてもらいたい」と話した。

 

弁護団によると、申立人には、10代未満の子供たちが16%含まれているほか、10代14% 30代18%などと、子育て世代や、その子供たちが多く参加している。

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http://www.tochihoku-adr.net/aboutadr.html